2020年大統領選で民主党の候補者指名獲得を目指すバーニー・サンダース上院議員は7日、不法移民の国外退去の一時停止やイスラム入国規制の取り消し、DACA滞在者の法的資格の延長、移民税関捜査局(ICE)の解体、不法入国の非犯罪化など、一連の移民政策に関する計画を発表した。
サンダース氏は、移民を悪者にして攻撃をするトランプ大統領の政策を廃止するとして、大統領の就任初日に、現在またはこれまでの取り締まりや政策の監査を完了するまで、国外退去を一時停止すると発表。さらに、南部国境の壁建設の中止、イスラム圏からの入国規制の取り消しのほか、「メキシコ残留」政策、不寛容政策、公的扶助を受給または受給する可能性のある合法移民に対するビザ発給制限など、トランプ政権の取り組みを覆すと発表した。
DACAについては、資格のある180万人の法的資格を直ちに延長すると述べた。また行政権限によって、5年以上米国に居住する不法移民が、国内に滞在することを許可すると発表。現在国内で生活する1,100万人の無認可の移民のために、迅速で公平な市民権獲得の道筋を制定するよう議会に要請すると述べた。
さらに、現行の移民関連法について「懲罰的な政策が移住の抑止になるとして正当化されているが、道徳的に間違いであるだけでなく、これらの政策が目的にかなったものであるという証拠はない」「移民の犯罪化は数十億ドルの税金の無駄遣いであり、弱い移民たちを非人間化し、すでに過密状態の刑務所をふくれさせるだけ」と問題を指摘。不法入国を非犯罪化するなどの、法改正案を挙げた。
法改正に加え、移民問題は国家安全保障上の脅威ではないと考えを示し、税関国境警備局(CBP)と移民税関捜査局(ICE)を解体し、司法省や国務省、財務省など、適切な機関に機能を再配置するとした。
一方、不法移民の流入を抑えるため、貿易協定の見直しについても言及。「NAFTAの実施以来、貧困線以下の暮らしをするメキシコ人の数は1,400万人以上増加した。1992年から2011年の間に、メキシコからの不法移民の数が185%増加したことは、驚きではない。」と述べ、「多国籍企業や特別な利害ではなく、米国、メキシコ、カナダの労働者を第一に置いて、北米の貿易協定を再交渉する」と述べた。
また、気候変動や格差政策と移民政策を絡め、温暖化で国を逃れる移民のために、初年度で5万人を受け入れる新たなプログラムをつくるほか、公約に掲げている国民皆保険や大学無償化に関し、滞在資格に関係なくすべての人々を対象とすることを明言した。