トランプ大統領は最近、恩赦を与えることを「クリスマスギフト」を送るかのごとく話をしているという。Axiosが会話を直接知る関係者の話として伝えた。
要望していない人にまで恩赦を提案する場合もあるという。情報筋は、大統領が会話を中断して、話し相手を恩赦リストに追加することを自ら提案していたと述べている。
恩赦は常に歓迎されるとは限らず、恩赦リストに載ることが、自身の公的な人格を損なうと考える人もいるという。
ある顧問によると、トランプ氏は「私とこれまで話をしたすべての人物」に恩赦を与えるつもりだと話していた。ただし、この顧問は、大統領の話を真剣に受け止めるべきか計りかねているという。
トランプ大統領は先月25日、ロシアの大統領選介入疑惑を巡り偽証罪などに問われたマイケル・フリン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に恩赦を与えた。以来、在任中にさらに多くの恩赦を与える可能性が取り沙汰されている。
ポリティコは先週、トランプ大統領が20人の支持者や関係者に先制的な恩赦を与えることを検討していると伝えた。
この中には、トランプ弁護団のルディ・ジュリアーニ氏、3人の子供(トランプ・ジュニア氏とエリック氏、イバンカ氏)とイバンカ氏の夫、ジャレッド・クシュナー氏が含まれている。
ニューヨークタイムズによると、トランプ氏は周囲に、バイデン政権下の司法省が、家族やジュリアーニ氏を標的にすることで、トランプ氏へ報復を試みるかもしれないと、懸念を示しているという。
トランプ・ジュニア氏は、2016年の選挙期間中、クリントン氏に有害となる情報を巡ってロシア人と接触したとして、ロバート・モラー特別検察官の捜査対象となっていた。大統領上級顧問のクシュナー氏は、機密情報の扱いに関する審査に際して、外国人との接触に関する誤った情報を政府に提供していた。
なお2018年にホワイトハウスの法律顧問と首席補佐官は、クシュナー氏はトップ・セキュリティ・クリアランスを受けるべきではないと助言したが、トランプ氏は許可を与えている。
エリック氏とイバンカ氏については、トランプ氏の懸念がどのような性質か不明だが、マンハッタンの連邦検事局は、トランプオーガニゼーションに対する捜査の範囲を広げており、イバンカ氏に渡ったとみられるコンサルティングフィーなど、捜査は同社の経費処理にまで及んでいると報じられている。
さらに、イバンカ氏は先週、大統領就任式実行委員会が、意図的にトランプホテルに過払いをしていた疑惑を巡って、首都ワシントンの検察の聴取を受けていたことが明るみに出た。
トランプ氏が自分に恩赦を与える可能性もある。
トランプ氏は先週、フェイスブックで放送したスピーチで、退任後に訴追される可能性について言及。「ワシントンで失敗した同じ人々が、ニューヨークで私を捕まえることができるよう、すべての情報を送っていると聞いている」と話した。
トランプ氏はこれまで、ロバート・モラー特別検察官がロシア捜査で報告した司法妨害のケースや、元側近のマイケル・コーエン氏を有罪へと導いた選挙資金法に関する疑惑、ニューヨークタイムズが9月に報じた税金詐欺の疑惑について、退任後に追求される可能性が指摘されている。
なお、大統領恩赦によって保護できるのは連邦犯罪に関するもので、州の犯罪には適用されない。
トランプ氏は大統領は自分に恩赦を与える「絶対的な権限」があると主張しているが、専門家の間では、憲法の解釈を巡って見解がわかれている。これまで自分に恩赦を与えた大統領はおらず、AP通信は、恩赦を決断した場合、法的に検証されていない領域に足を踏み入れることになると報じている。