イスラエル軍が19日に行ったとされるイランへの報復攻撃では、イランのレーダーシステムを回避するハイテクミサイルが使用されたという。
標的は、イスファハン近郊にあるナタンツ核施設の防御システムの一部とされる防空レーダーサイトだったと報じられている。米当局者はABCニュースにイスラエルの戦闘機が3基のミサイルを発射し、初期の評価として、サイトを「排除した」との見方を示した。
ニューヨークタイムズは、衛生画像を元にイスファハンの第8シェカリ空軍基地にあるS-300対空システムのレーダーが損傷していることを確認したと報じた。同紙はまた、イラン当局者2人も、S-300対空システムに命中したことを認めたとしている。
使用された兵器の種類は明らかではないが、西側の当局者はタイムズに、攻撃はイスラエルがイランの防空システムの検知を回避して無力化できるというメッセージをイランに伝えるために計算されたものだと話したという。さらにイラン当局者も、イラン軍はドローンやミサイル、戦闘機などが領空に侵入したことを検知しなかったと認めている。イランの国営通信社もミサイル攻撃は発生しておらず、防空システムは作動していないと報じたという。
ナタンツ核施設は、イランの主要なウラン濃縮設備がある複合施設で、非営利組織「The Nuclear Threat Initiative 」によると、3棟の地下建物と6棟の地上建物がある。地下建物のうち2つは5万台の遠心分離機を収容することができると見られている。イランは施設を民生用であると主張しているが、イスラエルは核兵器の開発に利用するのではないかと警戒している。
イランは現在、ナタンツ核施設近くにトンネルを採掘し、地下深くに核施設を建設している。
AP通信が衛星画像や専門家の分析を元に昨年報じたもので、トンネルの入り口は山腹の西側と東側にそれぞれ2つあり、土砂の量などから施設の深さは地下80メートルから100メートルの深さになる可能性がある。専門家は、米空軍のGBU-57爆弾といった地中貫通爆弾では到達できず、空爆では破壊が困難との見方を示している。