スティーブン・ムニューシン財務長官は29日、新型コロナウイルスの追加対策として成立した600ドルの現金給付の配布を開始したと発表した。
早くて同日夜に口座に入金される可能性もあるとした。小切手は、明日から発送を開始する。対象者は、IRSのサイトで配布状況を確認することができる。
600ドルの給付金は前回と同様、個人所得7万5,000ドル、または夫婦合算申告15万ドルを基準とし、これを上回る場合は給付額が減少する。4人家族で最大2,400ドルが支給される。
2,000ドル増額の行方は?
トランプ大統領は27日に現金給付を含む一連の追加対策法案に署名したが、法案が議会を通過した直後に2,000ドルへの増額を要求し、署名を見送る姿勢を示すなど、一時成立が危ぶまれた。
トランプ氏による突然の増額要求は、共和党の大統領と民主党の思惑が一致するという稀有な状況を招いた。民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、トランプ氏の提案を歓迎。28日に下院で2,000ドルに引き上げる法案の採決を実施した。結果は賛成275-反対134で、議決に必要な3分の2を上回った。
一方、上院では29日、民主党チャック・シューマー院内総務(民主党)が、法案採決について全会一致の同意を求めたが、ミッチ・マコーネル議員が異議を唱え、直ちを採決に進めることを阻止した。
マコーネル議員はこの後、2,000ドルの増額と通信品位法230条の廃止、選挙に関する調査委員会の設置を一つにした法案を提出した。いずれもトランプ大統領の要求に応えようとする内容。トランプ氏は国防権限法案に拒否権を行使した理由の一つに、230条の廃止を挙げている。
チャック・シューマー議員は、マコーネル議員は「全国で苦しむ家族を助けるのにまったく役に立たない、増額法案に関係のない、党派的な規定を積み込もうとしている」と指摘。下院を通過することはなく、「生存のための2,000ドルの小切手を奪おうとするあからさまな試み」と非難した。
マコーネル氏が、法案をいつ採決にかけるかは不明。民主党は引き続き、2,000ドル法案の単独採決を求めている。
共和党議員の多くは230条の修正を求めているが、廃止を要求していない。一方、民主党は、選挙の調査に反対をするとみられ、マコーネル氏の法案が通過する見込みはないと見られている。
CNBCは法案について、共和党は2,000ドルへの増額を実際に回避する一方で、1月5日のジョージア州決選投票で再選をかけて戦う共和党の上院議員2名に、トランプ氏の主張を支持していることを表明することを可能にするものと指摘している。
1月5日の決戦投票では、どちらが上院の過半数を取るかが決定する。デビッド・パーデュー議員(共和党)とジョン・オソフ氏(民主党)、ケリー・ロフラー議員(共和党)とラファエル・ワーノック氏が対決する。
同日、Foxニュースに出演したロフラー議員は「私は大統領をいつも支持してきた。これを誇りにしている」と述べ、2,000ドルへの増額を支持すると表明した。
パーデュー議員もFoxのインタビューに答えるとともに、ツイッターで2,000ドルを支持していると発表した。