マンハッタン地検の捜査官は、トランプ前大統領と一族企業に対する捜査の一環で、企業が、本来の給与に加えて幹部に対して提供した経済的利益に関して、脱税などの不正行為がなかったか調査をしている。ニューヨークタイムズが情報筋の話として報じた。
マンハッタン地検は、アッパーウエストサイドにあるColumbia Grammar and Preparatory Schoolに召喚状を発し、トランプ氏が、幹部らに代わって支払った授業料に関連する記録の提出を求めたという。捜査官が要求した記録には、トランプ・オーガニゼーションのアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者の孫のために、複数年に渡って支払われた数万ドルの授業料に関する情報が含まれるという。
トランプ氏の父フレッド氏の代から働くワイセルバーグ氏は、一族の企業の資金の流れを長年監督しており、捜査の重要証人になりうるとみられている。同紙は3月、検察官らは、インサイダーの協力を得るため、同氏に焦点を当てていると報じていた。
授業料は、会計上はフリンジベネフィットと呼ばれ、一般的に課税対象になると、タイムズは指摘している。
なお同学校の現在の授業料は、年間5万5,000ドルで、卒業生には、小説家のハーマン・メルヴィルや、メットオペラのジェネラルマネージャーのピーター・グレブ氏、女優のサラ・ミシェル・ゲラーがいる。
このほかに、先月、ワイセルバーグ氏の息子バリー氏の元妻、ジェニファー氏が捜査に協力していると報じられた。
バリー氏は、トランプ・オーガニゼーションがニューヨーク市との契約の元で運営するセントラルパークのウォルマン・スケートリンクの管理を任されている。
ジェニファー氏は2004年から2018年まで、バリー氏と婚姻関係にあり、召喚状に応じて資料やコンピューターを提出した。引き渡された一連の記録は、2017年に始まった夫婦間の離婚訴訟に提出された資料で、バリー氏の証言録取も含まれている。
この中で、バリー氏は、トランプ・オーガニゼーションが夫婦に複数年にわたって無料で提供したアパートについて、税金を支払ったかどうか「わからない」と答えていたほか、子供の学費や自動車のリース代を含む、生活費の大半を、父親が支払っていることを認めていた。
この報道を受け、トランプ氏の元弁護士、マイケル・コーエン氏は雑誌ニューヨーカーの取材に、「彼は息子たちをムショ送りにさせないだろう。彼は老後を矯正施設で送りたいと思わないだろう」と予測。検察がワイセルバーグ氏または家族を起訴する姿勢を示すならば、司法取引に応じるだろうと述べていた。