マンハッタン地区検事局は、トランプ前大統領の弁護士に対して、一族が経営するトランプ・オーガーニゼーションを刑事訴追することを検討していると伝えたという。ニューヨークタイムズが、事情に詳しい複数の人物の話として報じた。
起訴内容は、幹部社員に対して給与に加えて支払われた手当て(フリンジベネフィット)を巡るものとみられ、早くて来週にも訴状が提出される可能性がある。
ここ最近、トランプ・オーガニゼーションのアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者の起訴に動くのではないかとの憶測が流れていた。トランプ・オーガニゼーションそのものについて報じられるのは初めて。
マンハッタン地検の捜査は2018年にスタートした。捜査は、当初、トランプ氏と性的関係を持ったとされるポルノ女優に対して、2016年の選挙期間中に支払われた口止め料に関するものだったが、その後、資産価格を不当に申告するなどして金融詐欺や脱税が行われた可能性にまで拡大。最近では、幹部へのフリンジベネフィットが適切に記録され、納税されたかについて調べを進めていると伝えられていた。
今年3月、検察は、証人としての協力を得るために、財務トップのワイセルバーグ氏に焦点を当てていると報じられた。ワイセルバーグ氏はこれまでに、自動車のリース、孫の学費、息子夫婦の住居の賃料など多額の手当てを受けている。
トランプ氏の弁護士らは24日に、検事局オフィスの上級検察官と会い、企業に対する起訴を諦めるよう説得を試みたという。こういった接触は、ホワイトカラー犯罪の捜査では日常的だというが、説得が成功したかは明らかでない。
タイムズによると、税分野を専門とする複数の弁護士は、企業がフリンジベネフィットに関わる税金の未納で起訴されるのは、非常に稀だと指摘。ここ最近では例を見ないという。
法人は、トランプ・オーガニゼーションのような非上場企業でも、刑事訴追の対象となりうる。有罪となれば、罰金やその他の制裁が課される。不正が明らかにされれば、銀行や取引先との関係に多大な影響がでるほか、トランプブランドの評判を大きく損なうことになる。
トランプ氏本人が最終的に起訴されるか、見通しは不明。トランプ氏は、捜査は政治的な動機に基づいた「魔女狩り」と繰り返し主張。捜査の正当性を攻撃している。