トランプ・オーガニゼーションとその幹部、アレン・ワイセルバーグ最高財務責任者を起訴したマンハッタン地検だが、捜査協力を得るためにトランプ前大統領の子供達を刑事訴追することも視野に入れているのかもしれない。
トランプオーガニゼーションとワイセルバーグ氏は30日、詐欺行為の画策や共謀、脱税、業務記録の改ざんなど複数の罪で起訴された。1日にマンハッタンの裁判所に出廷し、無罪を主張した。
検察官は訴状で、トランプ・オーガニゼーションとワイセルバーグ氏は2005年から、本人と他の幹部に「帳簿に載らない」方法で報酬を与えるスキームをつくり、受益者らは収入の相当な部分を「間接的で偽装された方法」で受け取ったと説明。このスキームは、報酬を過少申告し、納税額を本来よりも大幅に減らすことを意図したものだと主張した。
検察によると、ワイセルバーグ氏は最大の受益者で、税金を納めることなく、会社からアパートやベンツのリース、家具、孫の学費など、176万ドルの「間接的な従業員報酬」を受け取っていた。
トランプチルドレンへの疑惑
検察官はまた、トランプオーガニゼーションでは、ワイセルバーグ氏を含む「幹部社員」に対して関連会社を通じて支払った決算賞与などの報酬を、「非従業員への報酬」として申告することが日常的に行われていたと主張した。
この点について、ニューヨークタイムズが類似した疑惑を報じている。
同紙は昨年、トランプ・オーガニゼーションで損金として計上された数千万ドルのコンサルティングフィーの一部が、幹部だった娘のイバンカ氏に支払われていた可能性があると伝えた。
タイムズの調査によると、2010年から2018年の間、様々なプロジェクトに関連する経費として、2,600万ドルが身元不詳のコンサルタントに支払われていた。この一部がイバンカ氏に支払われたとする根拠について、タイムズは、イバンカ氏は、自身が共同で所有するコンサルティング会社から74万7,622ドルの報酬を受け取っていたことが開示資料から判明したが、この数字がトランプ・オーガニゼーションがハワイとバンクーバー、ブリティッシュコロンビアのホテルプロジェクトで、コンサルティング費用として申告したものと一致しているからだとしている。
イバンカ氏は2017年にホワイトハウスに加わる以前、トランプ・オーガニゼーションの執行役員副社長を務めていた。
1日、MSNBCの番組に出演したマンハッタン地検の元検事補、レベッカ・ロイヒ氏は、今回の起訴は、トランプ氏の子供達の身の潔白を意味するものではないとした上で「イバンカ・トランプに支払われたコンサルティングフィーに関する報道に非常に似通った疑惑がある」と指摘。ただし、これだけではイバンカ氏を起訴するには十分ではないだろうと述べ、訴追には、この他の犯罪行為に関与している必要があるとの見方を示した。