ワシントンポスト紙の分析によると、トランプ前大統領が選挙中および任期中に掲げた公約は282件にのぼる。このうち、約束が果たされたのはわずか31件で、90件以上が未達成に終わった。果たされなかった公約には、オバマケア廃止や法人税15%への引き下げ、メキシコの負担による「侵入不可能で物理的な」国境壁の建設といった政権の目玉だったものが含まれるが、これらに新たに「重要なセルフイメージ」に関わる公約が加わる可能性があるという。
全額寄付の公約棚上げ?
同紙によると、トランプ氏は公約に反して、最後の半年分の報酬22万ドルを寄付していない可能性があるという。
ビジネスマンとしての成功ぶりをアピールしてきたトランプ氏は、選挙キャンペーン中、当選したら年間40万ドルの報酬を受け取らないと明言した。ただし、憲法により受給を拒否できないため、一旦受け取ってから手放すこととし、2017年の就任以来、四半期ごとに10万ドルを寄付していた。
この間、報酬を寄付する初めての大統領だと主張していたほか、「誰も感謝を述べない」と不満を漏らすこともあった。なおポスト紙によると、トランプ氏の主張は間違いで、フーバー大統領とケネディ大統領も報酬を拒否していた。
2017年4月に発表された初めての寄付先は国立公園局で、当時の大統領報道官、ショーン・スパイサー氏が記者会見に公園局の職員を呼び、カメラの前でチェックを手渡した。この後、少なくとも8省庁を対象に、13回の寄付を行なった。
トランプ氏の政策をアピールする機会として利用することもあり、昨年5月に保健社会福祉省に寄付した際、マケナニー報道官は、安全な再開を果たすために、新型コロナウイルスの治療や防止策のリサーチに使用されると発表した。
しかし昨年7月以降、ホワイトハウスは寄付先を発表しておらず、主要省庁が受け取ったことも確認されていないという。
なおトランプ前大統領は現在、政府から22万1,000ドルの大統領年金を受け取る資格があり、これまでに10万2,482ドルを受け取ったという。任期中の報酬と異なり、年金を手放す約束はしていない。