性的暴行を受けたとする米国人女性から提訴された英国王室のアンドルー王子。訴訟の行方に注目が集まっている。
ジェフリー・エプスタイン被告の性犯罪の告発者でもあるバージニア・ロバーツ・ジュフレさん(38)は先月9日、17歳だった2001年にアンドルー王子から性的暴行を受け、今も極度の感情的苦痛や心理的トラウマに苦しんでいるとして、損害賠償の支払いを求める訴訟をニューヨークの連邦裁判所に提起した。
ジュフレさんは、当時、エプスタインから性的虐待を受ける一方で、権力者らと性行為を強要されたと説明。この中にアンドルー王子も含まれ、ロンドン、ニューヨーク、ヴァージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島で性的暴行を受けたと主張した。
アンドルー王子はこれまで、エプスタイン被告と親交があったことを認めているものの、ジュフレさんとは面識がないと主張。疑惑を否定し、王室もこれを支持している。
民事裁判の第一歩として、被告人に訴状を適切な方法で送達する必要があるが、ジュフレさん側は、これを完了したと主張している。
10日、送達人が法廷文書を王子に届けたとする宣誓供述書を裁判所に提出した。
送達人はこの中で、先月27日朝に、王子の住むウィンザーのロイヤルロッジを訪問したと証言。王子に直接手渡すことを拒否されたとしつつ、警官の指示に従い、正門の護衛に渡したと説明した。警官からは、法務チームに転送すると告げられたとしている。
なお、送達人はこの前日にも訪れたが、この時は受け取りを拒否されたと証言している。
アンドルー王子がこれをどのように認識しているか、定かではない。
英紙SUNは、王子は先週、元妻セーラ・ファーガソンさんとともに、車でスコットランド北部にあるバルモラルエステートに移動したと伝えている。
敷地にあるバルモラル城は、エリザベス女王が夏の間を過ごすお気に入りの場所として知られている。
同紙によると、王子の訪問に周囲の反応は冷ややかなようだ。
側近らは、世間からすると、まるで女王が61歳の息子をかくまっているかのように見えると、憤りを口にしているという。
ある王室関係の情報筋は「信じられないくらい厚かましい。何ごともなく、世間を気にもかけていないかのように振る舞っている」と批判。別の関係者は「王子にバルモラルに来て欲しいものなど誰一人いない。100歳にもなろうとしている女性の影に隠れているようにみえる」と皮肉を述べたという。
13日には、ニューヨークの連邦裁判所で初の審理前会議を予定しているが、王子側の弁護士は出席しないと見られている。
なお、判事が送達が適切になされたと判断した場合、王子側には20日間の回答期間が設けられる。ただし、AP通信によると、王子側の弁護士は英司法当局に宛てた書簡で、送達の適切性とともに、裁判管轄権に異議を唱える姿勢を示しているという。
本人は、気にも留めていないのかもしれない。11日に、バルモラルでゲストを招いて遊猟パーティを開いたという。この中には人権侵害の問題が指摘されているバーレーン皇太子も招かれた。
情報筋の一人はSUNに、バルモラルに来るだけでも迷惑な上、「疑わしい客とともに遊猟パーティを開くなど、王室に無礼」と批判を述べた。
ここに来て貴族の遊びにふける王子。ヘンリー夫妻の暴露話に加え、女王の気苦労は絶えない。