ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)は2日、タンパベイ・バッカニアーズのワイドレシーバー、アントニオ・ブラウン選手、セーフティのマイク・エドワーズ選手、フリーエージェントのジョン・フランクリン選手を、3試合の出場停止処分にしたことを明らかにした。
ワクチン接種の状況を偽った疑惑を審査した結果、新型コロナウイルスのプロトコルに違反したことが判明したとしている。
疑惑が浮上したのは、先月18日のタンパベイ・タイムズの記事。同紙は、専属の料理人の証言をもとに、ブラウン選手が偽のワクチンカードを入手した疑惑を報じた。
記事によると、ブラウン選手のガールフレンドでモデルのシンディー・モロー氏が、料理人のスティーブン・ルイス氏に宛てたテキストメッセージで、ジョンソン&ジョンソン製のワクチンのカードを入手できるならば、ブラウン選手が500ドルを支払う用意があると明かし、「コロナのカードを調達できる?」と尋ねた。同紙はルイス氏から、このやりとりのスクリーンショットを入手したとしている。
ルイス氏は「やってみる」と返答したものの、調達することができなかった。しかし、この数週間後、ブラウン選手は、偽のワクチンカードを見せて、モロー氏と自分のために購入したものだと話したという。
なお、タンパベイ・タイムズは、ブラウン選手とルイス氏は、金銭を巡ってもめていたと報じている。ルイス氏は、ブラウン氏から未回収の1万ドルがあると主張していた。ルイス氏は、ブラウン選手の弁護士と折り合いがつかないことが明らかになった後、この話を公にしたという。
なお、ブラウン選手の弁護士は同紙に対して、同選手はワクチンを接種していると反論。「アントニオ・ブラウンはパンデミックの深刻さを理解している。そのため、ワクチンを接種しており、接種が推奨されているすべての人々を支持している」と述べた。
この報道後、バッカーニアーズは、全選手からワクチンカードが提出され、「不正は確認されていない」と発表していた。
NFL.comによると、3選手は処分を受け入れ、不服を申し立てる権利を放棄した。一方、ブラウン選手の弁護士は、ワクチンを接種済みとの主張は変えていないものの、「異議を唱えて、長引くやっかいなプロセスを経るかわりに、迅速に切り上げて、足首の怪我の治療に専念する」と発表した。
ブラウン選手はここ数年、問題行動が度々報じられている。昨年1月、フロリダの自宅前で、引っ越しトラックの運転手を暴行するなどの事件を起こし、強盗罪などで起訴された。裁判では、司法取引に応じて不抗争の答弁を行い、2年間の保護観察処分、精神鑑定とアンガーマネジメント講習を受講することを命じられた。
2019年には、性的暴行受けたとする元トレイナーから、民事訴訟を提起された。この問題を受け、契約したばかりのニューイングランド・ペイトリオッツから、在籍わずか11日間で放出された。なおブラウン選手側は疑惑を否定し、反訴したが、今年4月に和解に達した。
NFLでは、先月、グリーン・ベイ・パーカーズのアーロン・ロジャース選手とアレン・ラザード選手が、ワクチン未接種の状態でハロウィンパーティに出席していることが発覚。両選手に罰金1万4,650ドル(約165万円)の支払いを命じ、チームにも30万ドル(約3300万円)の罰金を科した。