米国で9日から配信がスタートしたHBOドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の続編「アンド・ジャスト・ライク・ザット」(And just like that …)。第一話で、主要キャストが死亡するという驚きの展開で、ファンを騒然とさせたが、これを逆手に取った企業CMが話題になっている。
そのCMがこちら↓(ネタバレが含まれます)
CMは、パンデミック中、会員数を大きく伸ばした在宅フィットネス大手、ペロトン社によるもの。ドラマでは、主人公キャリーの夫、ミスター・ビッグが、同社のフィットネスバイクで、お気に入りの美人講師のオンラインレッスンを受けた直後、心臓発作で倒れる。
バズフィードによると、同社は、フィットネスバイクと実在の講師が出演することは知っていたが、プロットについては知らされていなかったという。通常、大型ドラマでのプロダクトプレイスメントは、企業にとって願ってもないチャンスのはずだが、あまりのネガティブな使用に慌てたのだろう、同社はメディアに宛てた声明で、倒れたビッグの生活習慣と遺伝的なものが原因と解説するなど、マジなレスポンスをして話題となった。
放送後、同社の株価は11%下落し、年初来最安値を記録した。ニューヨークタイムズは11日の記事で、法廷闘争の可能性にも言及。同社の出方に注目が集まっていた。
CMが発表されたのは、そんな矢先。ビッグ役のクリス・ノースに加え、ドラマに登場した講師ジェス・キングさんも出演している。
バックグラウンドミュージックは、ベートーベンのピアノソナタ「月光」の第一楽章。実は、これもドラマと関係している。
親密な雰囲気の中、「もう一回乗ろうか?」「人生は短いのだから」と、肉体関係を連想させる言葉を交わした後、同社のエクササイズバイクがゆっくりとフレームインする。
CMには、ライアン・レイノルズも声で出演。「このようにして(And Just Like That)、世間は、サイクリングが心肺、循環を改善し、心血管疾患の危険を減らすことを思い出した。サイクリングは、心筋を強くし、安静時の心拍数を下げ、血中の死亡レベルを低下させる」とアピール。最後に「彼は生きている」と締めくくる。
放送からわずか3日後のCMリリース。もしかしたら、全ては出来試合で、事前に計画されていたのかもしれない。いずれにせよ、ドラマと一体になって、同社の話題が続きそうだ。すばやい対応に、ネットでは「最高のマーケティング」「(主人公)のキャリーが、救急車を手配するよりも早い」と、同社の広報チームを賞賛する声も上がっている。