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「実験台にされた」米刑務所 イベルメクチンを無断投与、受刑者らが提訴

米自由人権協会(ACLU)は13日、新型コロナウイルスの治療薬としての使用が認められていない駆虫薬「イベルメクチン」を、収監者に同意なく投与したとして、アーカンソー州の刑務所に対する訴訟を提起したことを明らかにした。

提訴されたのはアーカンソー州ワシントン郡刑務所。原告には4人の収監者の名が記されている。訴状によると、少なくとも2020年11月には、コロナの治療薬として受刑者にイベルメクチンが与えられていた。医療スタッフは「ビタミン」「抗生物質」「ステロイド」などと伝えていたという。

ACLUは、「原告は、医療専門家から食品医薬品局、疾病対策予防センターまですべてがコロナに対する有効性を認めていない薬を、正体を知らされず、同意もなく、驚くほど多量に投与された」と主張。外部の医療専門家による診断に加えて、「損失や費用、その他適切な全ての処置」を求めている。

ACLUアーカンソー州支部の法務責任者、ゲリー・サリバン氏は声明で「収監中の受刑者を含め、騙されたり医療実験に利用されたりしても良い人間などいない」と非難。「FDA(食品医薬品局)は、コロナへのイベルメクチンの誤用が、発作、昏睡、死亡を含む深刻な危害をもたらす恐れがあるとしている」と指摘した上で、「施設は、パンデミックの渦中でありながら、新型コロナに関する安全で適切な治療を怠った。その責任を問われなければならない」と語った。

イベルメクチンを投与された、エドリック・フロレアル=ウーテン氏は、CBSニュースの取材に応じ、自分も他の受刑者も、投与に同意していないと証言した。「彼ら(刑務所スタッフ)は我々をまるで家畜のように実験台にした。我々が囚人服に身を包み、人生で何度か過ちを犯したからといって、人より下等なわけではない。我々にも家族がいて、愛する人がいて、愛してくれる人もいる」と話した。フロレアル=ウーテン氏は4日間に渡り、推奨量の3.4倍のイベルメクチンを飲まされたという。

イベルメクチンをめぐっては、新型コロナ治療に有効だという根拠のない噂が広まったことで、トラブルになるケースが増加。インディペンデントによると、全国55ヶ所の毒物対策センターから全米中毒データシステムに報告されたイベルメクチンに関連する症例は、昨年夏、一ヶ月間で245%増加した。

FDAやCDCでは、コロナ治療への使用に関して、繰り返して警告を発している。

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