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ルーズベルト像が「キャンセル」されたワケ

マンハッタンのアメリカ自然史博物館前にあるセオドア・ルーズベルト大統領像が、19日夜撤去された。

80年以上にわたって来館者を迎えてきた像は、馬上のルーズベルトの両わきに、アフリカ人と先住民が配置されており、構図が植民地主義や人種差別、種の優劣を想起させるとして、長らく議論の対象となっていた。

博物館の広報担当者によると、撤去にかかる費用は約200万ドル(約2.3億円)だという。

▼台座からクレーンで撤去されるルーズベルト像

像が完成したのは1940年。ニューヨーク州知事をつとめ、第26代大統領となったルーズベルトの死後、ニューヨーク州の記念施設の建設事業の一環として建立された。

設置目的について、自然主義者で、自然史に関する書物を残したルーズベルトを称えるとともに、博物館の創設に寄与したルーズベルト家との歴史的な関係を示すものとされている。

作者のジェームズ・フレイザー氏は、「ルーズベルトのすべての人種との友情を表すもの」と語っていたという。

フロイド事件などがきっかけ

白人至上主義団体と反対派が衝突し、死者を出す事態に発展した2017年のシャーロッツビル事件や、2020年のジョージ・フロイドさん殺害事件をきっかけに、差別や奴隷制を象徴する像を取り除くよう求める声が高まった。自然史博物館は2020年6月、像を撤去する計画を発表した。

博物館の理事会メンバーでもあるルーズベルト家は、当時の声明で「世界は、過去の遺物を必要としていない。像は称えることを意図した人物の価値観、平等や正義の価値観を反映したものではない。また像の構図は、ルーズベルトのレガシーを表すものではない。像を除き、前進する時だ」と発表していた。

今後は、ノースダコダ州にあるセオドア・ルーズベルト・ライブラリーに貸与される。

ニューヨーク市では昨年11月、市庁舎内の議場に100年以上置かれていた「建国の父」の1人、トマス・ジェファーソン像も撤去された

ジェファーソンは、1776年の独立宣言を起草し、第3代大統領に就任。600人以上の奴隷を所有し、そのうちの1人、サリー・ヘミングス(Sally Hemings)と6人の子供をもうけていた。

パブリックアートを監督するニューヨーク市の公共デザイン委員会は、移設に関する投票を行い、全会一致で可決した。
像はニューヨーク最古の美術館、ニューヨーク歴史協会に貸与されることが決定している。

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