ロック界の大御所、ニール・ヤングは7日、自身のホームページに声明を掲載し、スポティファイの従業員らに離職を呼びかけた。
ニール・ヤングは先月、スポティファイが、新型コロナのワクチンに関する誤情報を野放しにしているとして、楽曲の削除を要求。この数日後、同社はこれに答える形で、削除を始めると発表した。
ヤングが問題視したのは、同社の人気No1ポッドキャスター、ジョー・ローガンの番組「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」。ローガン自身、ワクチンを巡る発言が度々物議を醸してきたほか、昨年末に番組で行ったロバート・マローンとのインタビューをめぐって、科学者数百人が、公開書簡で、同社に誤情報防止のための対策を求める事態に発展していた。
ちなみにローガンとスポティファイとの契約金は「1億ドル」とも伝えられている。
ヤングの動きは他のアーティストにも波及。ジョニ・ミッチェル、ニルス・ロフグレンといった大物も、スポティファイから楽曲を取り下げをする意向を示した。
さらに先日、ローガンが過去、番組内でNワードを使用した部分を集めたクリップがSNSに出回った。動画は、グラミー受賞歌手のインディア・アリーが、インスタグラムのストーリーに投稿したもので、アリー自身も、楽曲を削除する意向を示した。アリーはまた、ローガンが、黒人の居住地区を映画「猿の惑星」に喩えて話す部分を切り取った動画も投稿している。
これを受け、ローガンは5日、自身のインスタグラムに声明を投稿。クリップは文脈から切り取られたものだと釈明しつつ、「自分にとってさえ、クソに見える」と述べ、謝罪の意を表明した。
ニール・ヤングは声明で、ジョー・ローガンではなく、同社のCEO、ダニエル・エクが大きな問題だと指摘。「エクが糸を引いている。お前らの魂が食い尽くされる前に、そこを出るんだ」と呼びかけ、「エクが追い求める唯一の目標は数字で、芸術でもない、創造性でもない」と述べた。
ユーザーらには「コミュニケーションの時代において、誤情報は問題だ…君らの給料で支援するクリーンな場所を見つけよう。君たちには真のパワーがある。これを使おうじゃないか」と主張。音楽家やクリエーターに対して、「スポティファイよりもっとよい場所を見つけることができるに違いない」と、自分に続くよう訴えた。
なお、エク氏は、従業員らに宛てた書簡で、ローガンの差別発言を「強く」非難する一方、契約は継続する意向を示したと伝えられている。
書簡を入手したハリウッドレポーターによると、エク氏は「一点明確にしておきたい。ジョーを黙らさることは、正解ではない」と主張。「コンテンツに関する明確な境界線を設け、違反した場合は対応せねばならないが、意見をキャンセルすることは、危険な道だ」と説明したという。
エク氏は加えて、「歴史的に疎外されてきたグループのコンテンツのライセンスや開発、マーケティング」に1億ドルを追加で投資する意向を示しているという。
ニール・ヤングはこのほか、気候変動問題にも言及。チェース銀行やシティバンク、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴなど大手銀を名指しし、「気温が上昇しているにも関わらず、化石燃料のダメージに資金提供をしている。アメリカの銀行口座から金を引き上げよう」と呼びかけた。