米IBMの幹部らがメールで、年配社員を「恐竜の子(Dinobabies)」「絶滅種」といった言葉を用いて、削減する計画を話し合っていたという。ビジネスインサイダーが、裁判資料を元に報じた。
資料は、同社の年齢差別をめぐる訴訟に関するもの。同サイトは、IBM内で「年配社員を職場から追放し、ミレニアル世代に替える取り組み」があったことを示す証拠として、提出されたと伝えている。訴訟は、40代以上の社員が大量に解雇された後、2018年に始まった法廷闘争の一環だという。
ある幹部のメールには、「時代遅れの母親の労働者」と、女性蔑視的な発言があり、「この状況を変えなくてはいけない」「彼らはSNSやエンゲージメントの概念を全く理解していない。デジタルネイティブではない。我々にとって真の脅威だ」と記されているという。
原告側の代理人、シャノン・リス=ライアダン氏は、一連の言動について、「非常に罪深く」、「IBM上層部の年齢への偏見を反映している」と主張している。リス=ライアダン氏は過去にグーグル、アマゾン、ウーバーに対する従業員訴訟も担当したことで知られる。
ニューヨークタイムズは、一連の資料について、指導部が年配社員の追放に関与したことを示す、公にされたものとしては初めての証拠だと伝えている。
同紙によると、トップクラスの幹部が「アクセンチュアは72%がミレニアルだが、我々は42%で、多くのユニットが平均を下回っている」「”早期専門家”を雇う必要性を物語っている」と、競合他社と比較して議論するメールなども含まれている。
原告側はこのほか、年配社員を削減するために、本人らが断ることを織り込んだ上で、転勤を命じたと非難。ある社内メールには「転勤を受け入れる割合は8-10%」と記されているほか、受け入れた社員のために仕事を見つけなければならないと、転勤の根拠がなかったことを示す内容も含まれているという。
さらに今回提出された資料には、レイオフの対象とされた社員は、社内で空きのある仕事に応募することが許可されているにも関わらず、マネージャーらに雇用を推奨しない動きがあったことを示すものもあるという。
なお、IBMの広報、クリス・ムンマ氏は、Insiderの取材に対し、「会社は組織的な年齢差別など一切行っていない」とし、「IBMが従業員を仕分けしたのは、事業の体制によるもので、年齢は関係ない」と疑惑を否定。さらに、2020年時点の米国IBM社員の中間年齢は48歳で、これは10年前も同じだと説明している。