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「裏切り者」中国ネット ネーサン・チェンを非難

北京冬季五輪のフィギュアスケート男子シングルで優勝したネーサン・チェン選手(Nathan Chen)に対して、中国のSNSで誹謗中傷が飛び交っているという。ニューヨーク・ポスト紙が伝えた。

中国版ツイッター「ウェイボ」では、中国系アメリカ人のチェン選手に「裏切り者」「中国から出て行け」といったコメントが投稿されているという。ブルームバーグによると、チェン選手のパフォーマンスを「猿みたい」と評したり、欧米かぶれのアジア人を蔑む意を込めて「バナナ」と呼んだりするなど、差別的な言動もみられた。優勝直後、ウェイボではチェン選手に関する話題がトレンド2位に浮上したが、大半はネガティブなコメントだったという。

チェン選手への批判は以前からあり、中国国内の人権侵害に対する非難の声に加わったことも、反感を煽ることにつながった。昨年10月、米国代表選手らを招いた記者会見で、ウイグル民族弾圧を批判したアイスダンスのエヴァン・ベイツ選手に、チェン選手は「同意する」と賛同を示した。

2018年の平昌冬季五輪では、映画『小さな村のダンサー』(Mao’s Last Dancer)の楽曲を使用したことで非難を浴びた。映画は毛沢東政権下でバレエの英才教育を受け、後にアメリカに亡命したリー・ツンシン氏の半生が描かれている。チェン氏は「全体的な社会システムや物語の背景を理解していなかった。音楽が単に美しかった」と述べるなど、批判的な意図はなかったと説明している。

なおチェン選手自身は、中国のプラットフォームにアクセスしておらず、これらの批判を目にする機会がなく、反論する気もないとしている。

チェン選手としばしば比較されるのが、女子フリースタイルスキーのアイリーン・グー(Eileen Gu、谷愛凌)選手と女子フィギュアスケートのジュ・イー(Zhu Yi、朱易)選手。両選手ともに移民の親を持ち、米国で生まれ育ったが、中国に帰化して中国代表選手となった。

グー選手は今大会で、女子ビッグエア·フリースタイルスキーで金メダル、スロープスタイル·フリースタイルスキーで銀メダルを獲得した。モデルとしての仕事もこなし、中国語も流暢であることから「ミス・パーフェクト」「スノー・プリンセス」と賞賛されるなど、国内の人気が高い。

ただし先日、国内で閲覧が制限されているアプリを使用していることから、一部で、政府から「特別待遇を受けているのでは」という疑問の声が上がった。また、米国籍を放棄したかどうかについて明らかにしておらず、二重国籍疑惑も浮上している。中国では一般的に、二重国籍が認められていない。

一方のイー選手は、団体女子シングル戦後、厳しい非難が飛び交い、ウェイボが、アカウントの停止や投稿の大量削除などの対応に乗り出した。中国チームは5位に終わったが、複数回転倒したイー選手に対して「恥を知れ」「不名誉」など、心無い言葉が投稿された。さらに、中国語が堪能ではないことを非難する声や、代表選手に選ばれたのは、父親が著名な科学者だからという根拠のない憶測も飛び交った。サウスチャイナモーニングポストによると、6日の試合後、「ジュイーが転んだ」とハッシュタグがついたコメントは、数時間で2億回以上閲覧されたという。

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