「フルハウス」俳優ボブ・サゲットさんの遺族は15日、死亡に関する捜査記録の公表を控えるよう、フロリダ州オレンジ郡保安局と検視局担当者を提訴した。複数メディアが報じた。
サゲットさんは先月9日、コメディショーのツアー中に、フロリダ州にあるホテル「リッツカールトン・オーランド」で死亡しているのを発見された。
検視局は今月11日、死因について、目撃者のない場所で転倒し、「鈍的頭部外傷」による事故死とし、違法薬物の摂取や、事件性はないと報告書を発表した。しかし、サゲットさんは頭蓋骨を複数カ所骨折していたことから、専門家からは、発表に疑問の声が上がっていた。
原告は、妻のケリー・リゾさんと3人の娘。訴状によると、捜査の過程で作成された音声やビデオ、写真、グラフィックなどの記録について、一部のメディアが、フロリダ州の公文書法に基づき、これらの入手を求めたという。
遺族は詳細の公表により、「極度の精神的苦痛」を受け、「取り返しのつかない損害を被る可能性がある」と訴えたほか、サゲットさんの死は「一般開示の適用除外」にあたると主張。プライバシーの権利を侵害するとして、記録の公表の差し止めを求めた。
なお遺族は、検視局が死亡報告書を発表する前日、捜査当局の話として「誤って後頭部に何かにぶつけ、それに気づくことなく、眠りについた」と説明していた。
専門家からは疑問の声
検視局の報告書では、サゲットさんは、頭蓋骨の複数カ所を骨折し、脳の両側に出血が見られたほか、眼窩(目の周りの骨)を骨折していたと発表している。
これに対し専門家は、「何かに頭をぶつけた」「転んで転倒」した程度の外傷ではないと指摘する声が上がった。
脳神経外科医のサンジェイ・グプタ医師はCNNの番組で、「階段から転げ落ちたか、自動車事故でシートベルトをしていなかった場合」に匹敵する強い衝撃だと語っている。
またヒューストンメソジスト病院の脳神経外科部長のギャビン・ブリッジ医師は、ニューヨークタイムズに、報告書は「野球のバットを頭にぶつけられたか、6-9メートル上から落下した人のように見える」と指摘。さらに眼窩を骨折した場合には、強い痛みが生じると語っている。
遺族が提訴したことにより、死因に関するさらなる噂や憶測が広がりそうだ。