ニューヨーク市の地下鉄を運営するMTAのジャノ・リーバーCEOは23日、ホームドアを試験的に導入すると発表した。
設置は3駅で、マンハッタンのタイムズスクエア駅(7番線)とサードアベニュー駅、クイーンズのサットフィンブールバードアーチャーJFK駅に予定している。
タイムズスクエア駅では先月、アジア人女性が、ホームレスの男に突き飛ばされた後、電車にはねられ死亡する事件があった。
地下鉄での突き飛ばしは昨年、30件発生している。2019年は20件だった。パンデミックで利用者数が減少したにもかかわらず、事件は増加しており、市民からは対策を求める声が上がっていた。
ホームドアの設置に関しては、構造及び費用などを理由に、検討は先延ばしされてきた。リーバー氏はアジア人女性の突き飛ばし事件後、WABCの番組で、ホームドアの設置は「再度検討する」と述べる一方、障害者法などの法的な問題や、換気、「100年前に建設された古い駅の構造」には、「物理的な制約」があるとして、難色を示していた。
MTAの2年前の調査報告書では、ホームドアが設置可能な駅は、全体の4分の1(128駅)に限定され、全駅での導入は困難だという。
リーバ氏は、地下鉄の安全性は「複雑な問題」と説明し、ホームドアに加え、メンタルヘルスの問題に対処するため、ニューヨーク大学の精神科の専門家と提携し、「必要な人々に、メンタルヘルス教育を提供」する計画を明らかにした。
NY1によると、ホームドアの設置スケジュールや予算などは明らかにされていない。
なおエリック・アダムス市長は先週、地下鉄で寝泊まりするホームレスの排除などを含む地下鉄安全計画を発表。21日から、警察官とメンタルヘルスの専門家によるホームレスへのアウトリーチを開始した。