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元NATO最高司令官 ウクライナ飛行禁止区域の設定を支持、ロシア核兵器使用の可能性は排除せず

ニューヨークポスト紙のインタビューに答えたウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官は、ウクライナ侵攻をめぐって、ロシアが核兵器を使用するリスクなどについて見解を語った。

クラーク氏は「国連憲章の下、国家は自衛のために他国に支援を要請する権利がある」とした上で、ウクライナ側が求める飛行禁止区域の設定について、支持を表明。「彼らが支援を求めたならば、われわれがそこを飛べない理由はない」と話し、これに争いをしかけるかどうかはロシア側の問題で、戦えば「彼らは撃ち落とされるだろう」と語った。さらに、プーチン大統領が核の脅威を持ち出すだろうが、それは「巨大な掛け金がかかったポーカーでブラフ(はったり)をしているようなもの」だとして、後退せず、立ち向かわなければならないと考えを話した。

ホワイトハウスのサキ報道官は3日の記者会見で、飛行禁止区域について「本質的に、米軍がロシアの飛行機を撃墜することであり、ロシアとの直接戦争を誘発する。まさにわれわれが避けたい一歩だ」と、可能性をあらためて否定した。

プーチン氏の核兵器の使用について、クラーク氏は「彼が負け続けるならば、可能性がある」と述べる一方で、「核攻撃を加える可能性があると考えるのならば、拡大抑止の概念は断念する必要があると思う」と、抑止が機能不全に陥っている状況を逆説的に示唆した。

加えて、プーチン氏が核をちらつかせてエストニアを攻撃する場合、NATO諸国が対策を決定する前に、ロシア軍は同国を制圧することができると述べるなど、拡大抑止が働かないケースを挙げたほか、中国、北朝鮮、イランの脅威に言及した上で、「米国は、この新分野に対応するために、自身の理解、リーダーシップ、手続を再検討しなければならず、さもなくば、第二次対戦後に拡大抑止の概念をもとに築き上げたルールに基づく国際秩序を失いかねない」と警告した。

また、プーチン氏の脅威に対応する方法が今すぐに見出せなくとも、いずれ必要になると指摘。「プーチンだけではなく、北朝鮮、イラン、中国から(の脅威)もだ」と加え、「プーチンの突きつけた課題は、米国の拡大抑止ドクトリンに対する挑戦だ」と語った。

さらに、冷戦時代は「米国がニューヨークを犠牲にして、本当にハンブルグを(ロシアから)守るか」という、拡大核抑止の命題に対して、米兵を配備し、戦術核兵器から戦域、戦略核兵器にいたる核オプションを持つことで、抑止力の信頼性を強化していたとした上で、「われわれは実質、米国のNATOへのコミット、米国の戦略抑止を結びつける上で重要な一連の核オプションを取り除いてきた」と、冷戦後の動きを説明。「プーチンは米国のドクトリンに穴を見つけたのだ」と語った。

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