トランプ氏「大統領の役割理解していなかった」バー元司法長官

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トランプ前大統領の最側近の一人と見られていたウィリアム・バー元司法長官が、NBCのインタビュー特番に出演。2020年12月の退任後初めて、トランプ政権下での出来事や、トランプ氏の逆鱗に触れたエピソードなどを公に語った。

インタビュアーを務めたのはNBCの看板ニュース番組のアンカー、レスター・ホルト氏。特番は6日夜放送だが、これに先駆け3日のMSNBCのニュース番組「Andrea Mitchell Reports」と「NBC Nightly News」で、インタビューのハイライトが初公開された。

「ご機嫌とりなどではなかった」

バー氏は司法長官時代、マイケル・フリン元大統領補佐官や、政治顧問のロジャー・ストーン氏といったトランプ氏の最側近らを大目に見る一方で、トランプ氏の政敵を標的にしているなど、黒幕のように語られることも多かった。インタビューではバー氏が、司法長官の立場を利用してトランプ氏の個人弁護士のように振舞っている、とのイメージを植えつけられていたと弁明。「私がトランプ氏のご機嫌とりで、意のままに動いているというもので、メディアはこのストーリーを繰り返し伝えてきた」と語った。実際のところ、「私はすべての問題に対して、自分が正しいと思うとおりに決断をしてきた」と話した。

「大統領の役割を理解してなかった」

自分がトランプ氏の取り巻きというイメージで見られるようになったのは、トランプ氏によるところが大きいと指摘。その一因として、2019年のウクライナ疑惑の焦点となったトランプ氏とゼレンスキー大統領との電話会談で、トランプ氏がバー氏を自分の代理として、後に連絡させると伝えたことを挙げた。

ウクライナ疑惑は、トランプ氏の政敵バイデン氏とその息子、ハンター氏をめぐる疑惑に関し、トランプ氏がウクライナの大統領に捜査依頼を持ちかけたもので、トランプ氏の1度目の弾劾訴追のきっかけにもなった。バー氏はインタビューで、この件で自分の名前が持ち上がったことについては寝耳に水だったと告白。当時はトランプ氏の発言に「激怒した」とし、「ウクライナにバイデン氏の捜査をさせるという戦略だ。そんなことは無謀で、バカバカしいことだ」と語った。

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トランプ氏について「司法省の役割をしっかり理解したことは一度もなかった。ある意味、大統領の役割についてもだ」と述べた。

辞任劇の裏側

インタビューでバー氏は、2020年の大統領選の結果をめぐり不正を主張し続けたトランプ氏に対し、「不正があったというのはデタラメだと告げた。自分のチームが成し遂げてきたことを無にするようなもので、間違っている」と進言したとも語った。そして選挙不正の主張を公に否定したことで、その場で解任されそうな勢いでまくし立てられたエピソードを披露した。

2020年12月1日、AP通信の番記者にバー氏が「今日までに、選挙結果に影響するほどの不正があった証拠は見つかっていない」と、トランプ氏の意に反する発言をしたことが記事になった直後、バー氏はホワイトハウスへ呼び出され、プライベートダイニングルームで、発言を問いただされた。

バー氏が、司法省の捜査ではトランプ氏や法律顧問らが主張する陰謀論を裏付ける証拠はなかったと告げると、トランプ氏は様々な陰謀論を持ち出したという。これらも否定した上で、怒りの込み上げる様子のトランプ氏に「私に怒りを抱くのは理解しています。辞表を提出するのは全く問題ありません」と辞任を示唆すると、トランプ氏は突然”バーン”と机を叩いて「受領した!、受領した!」と騒いだ。この後、再び机を叩いて「分かった。帰れ。オフィスじゃないぞ。家に帰れ。お前は終わりだ」と怒りを爆発させたという。

バー氏が正式に辞表を提出したのは14日。この間、トランプ氏は公然とバー氏への批判を展開した。3日のホワイトハウスでのイベントでは、「彼は(選挙不正疑惑に関して)何もしていない。調べてもいない。これは犯罪だ。なんてひどいことだ。犯罪だ」と主張した。

バー氏は今月8日、トランプ政権時代の地震の経験を綴った回顧録「One Damn Thing After Another: Memoirs of an Attorney General」を出版予定。一部では、書籍で利益を得られるようになるまでトランプ氏について沈黙を守っていたことに対し、批判も出ている。

トランプ氏は4日、声明を発表し、「ウィリアム・バー元司法長官は、目の前にある投票不正をわかっていなかった」と反論。「彼は弱くて無能、弾劾されるのを恐れていた。民主党は常にこれを脅していた」と攻撃した。

Mashup Reporter 編集部
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