ニューヨーク市危機管理局は11日、核攻撃の備えに関して、認知の向上を図る公共広告(PSA)を公開。この中で、住民が知っておくべき「3つのステップ」を紹介した。
90秒間の動画では冒頭、人の気配が消え、サイレンが鳴り響く街の中で、進行役の女性が登場。「核攻撃がありました。なぜ?どのように?などと聞かないでください。わかっているのは、大きな物体が衝突した。それだけです。私たちは、どうすべきでしょうか」と問いかけるところからスタート。
続けて、住民が取るべき行動を「3つのステップ」に分けて説明した。
1つ目は「すぐに建物の内部に入ること」。車の中にとどまるのは避け「建物の中で、窓から離れましょう」述べた。
2つ目は「建物内にとどまる」。すべてのドアと窓を閉め「中央」に行くよう求めた。もし地下室がある場合は、地下で待機するように指示した。また、攻撃の際、外にいた住民は、放射性のちりや灰をすぐに洗い流すこと。衣類はすべて脱ぎ、袋などに入れるよう求めた。
3つめは、テレビやラジオで「最新の情報を得る」こと。ニュースを確認し、市から直接情報を得ることができるよう「Notify NYC」に登録するよう求めた。安全性が確認できるまで、絶対外に出ないこととしている。
危機管理局は、自然災害や人的危機に対応するため、住民への教育や啓蒙活動を行っている。クリスティーナ・ファレル副局長は、地元ラジオ局1010WINSに対し、現時点で特定の脅威はなく、「攻撃の可能性は低い」としつつ、(攻撃があった場合には)「インパクトは大きい」と述べ、これらの手順を知っておくことは「非常に重要だ」と語った。
今回のPSAが、パンデミックや犯罪件数の増加、インフレに加え、市民の新たなストレスとなる可能性がないかと尋ねられると、「ニューヨーカーは立ち直る強さを持っており、明快な情報を得ることを好む」と主張。緊急事態への「準備的な側面に焦点を当てており」、公開を先延ばししたくなかったと語った。
ロシアのウクライナ侵攻後、核攻撃の脅威も高まっている。プーチン大統領は先月、新型大陸間弾道ミサイル「サタン2」を年内にも配備する計画を明かしていることから、今回のPSAにはさまざまな反響が寄せらている。
ネットでは「役立った」「すべての主要都市は核攻撃に備えるべき」と主張するユーザーがいる一方、「核攻撃を受けたら、われわれは助かる見込みはない。このビデオはお笑いだ」「すごく簡単に言うけど、本当に必要なのは地下室だけ」などの意見や、冷戦時代の安全訓練「Duck And Cover」(頭を覆って、机などの下に身を伏せる)を思い出すというコメントなどが投稿された。核攻撃よりも「地下鉄で精神疾患を抱えた人に突き飛ばされないようにする方法を教えて欲しい」と身近な問題について指導して欲しいという要望も寄せられている。