ロシアのプーチン大統領は先週、連邦議会下院の指導者や党首らを招いた会合で、ウクライナ侵攻の正当性を強調した上で、戦争は「米国式世界秩序の根本的な崩壊のはじまり」を示すもので、止めることはできないなどと説いた。
ロシア大統領府が発表した英訳によると、プーチン氏は、今日の戦争はロシアではなく、「2014年に違法な武装クーデターを組織、支持」した西側諸国が始めたものと主張。西側は、ドンバスの人々の虐殺を奨励し、正当化しており、戦争の「直接的な扇動者」だと説明した。
経済制裁について、困難を敷いられているのは事実としながらも、西側は期待通りの成果は上げていないと指摘。さらに、制裁の狙いは、経済に打撃を与える以上に、ロシア社会を内紛と混乱に陥れ、人々に混沌をもたらすことだとも主張した。
一方、プーチン氏が「特別軍事作戦」と呼ぶところのウクライナ侵攻について、開始当初から西側は敗北を認識していたはずで、なぜなら「米国式世界秩序の根本的な崩壊のはじまり」を意味しているからだと説明。「リベラル-グローバリストな米国の自己中心主義が、利己的なルールに基づかない、真に多極的な世界へと移行しはじめている」と述べ、「このプロセスは止めることができない。歴史は容赦せず、西側が、残りの国々に課そうとする新世界秩序は、破滅の運命にある」と話した。
また、かつて「民主主義の原則」をかかげた欧米は、「全体主義」へと退化していると述べ、その影響は国民生活全体に及んでいるほか、「キャンセルカルチャーを含むこの全体主義的リベラリズムのモデルを、世界に押し付けようとしている」と非難した。
プーチン氏は来週テヘランを訪れ、ライシ大統領とトルコのエルドアン大統領の3者会談を予定している。シリア問題が話し合いの焦点とみられている。この一方で、ホワイトハウスは先日、イラン政府が武器の搭載が可能な数百台規模のドローンをロシアに提供する準備しており、月内にもドローンを使用するための訓練をロシア兵に施す準備を進めているとの情報があると発表。両者の動きに警戒を示した。