ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領を務めた共和党のディック・チェイニー氏(81)が、娘のリズ・チェイニー下院議員(ワイオミング州)の選挙CMに出演。トランプ前大統領について、建国以来の「最大の脅威」と警告するとともに、16日に実施される予備選挙での娘の支援を呼びかけた。
チェイニー氏は冒頭「我が国の246年の歴史で、ドナルド・トランプほど我が国の最大の脅威になった者はいない」と宣言。「投票者に拒否された後、権力に止まるために詭弁や暴力を弄して選挙を盗もうとした」と批判した。
続けて「彼は腰抜けだ。真の男は、支援者に嘘などつかない。選挙に大敗したのだ。それを私は知っているし、彼も知っている。多くの共和党員も知っていると思う」と指摘。党内のトランプ批判の急先鋒として、議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会で副議長を務める娘について「リン(妻)と私は、仲間たちが怖気付いている中でも真実に立ち向かい、正しいことを為し、憲法の誓いに忠実であるリズを誇りに思う」と語った。
「リズは恐れを知らず、戦いから引き下がらない」と話し、「ドナルド・トランプに二度とホワイトハウスに近づかせない活動を率いることほど重要なものはない。彼女は成し遂げる」と締めくくった。
リズ・チェイニー氏は、先述の委員会に加わる前、トランプ氏の2度目の弾劾訴追に共和党から造反して賛成票を投じるなど、トランプ氏との対立姿勢をあらわにしてきた。ただし、こうした活動が党内の反発を招き、ナンバー3の座を失う結果となった。
トランプ氏との対立は、支持率にも影響を及ぼしている。7月に州内の有権者を対象に行われた世論調査では、チェイニー氏の印象として、特別委員会に参加した判断に賛成できないとした人が63%、トランプ氏に反発する姿勢がワイオミング州の代表にふさわしくないとの回答が61%だった。また、特別委員会に加わったことでチェイニー氏に投票する気が薄れたという人は54%にのぼった。
さらに、チェイニー降ろしの対抗馬としてトランプ氏が擁立したハリエット・ヘイグマン氏から20ポイント以上の差をつけられる結果となるなど、再選が危ぶまれている。