中間選挙を3カ月後に控える米国で、早くも再来年の大統領選をめぐる議論が活発化しつつある。そうした中、元ニュージャージー州知事で大統領選への出馬経験もあるクリス・クリスティー氏(59・共和党)が大統領選の共和党有力候補を独自の視点で絞り込み、今後の展開を予想した。
クリスティー氏は2016年の大統領選に共和党から立候補。序盤から苦戦を強いられ早期に撤退した後は、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったトランプ陣営に加わった。トランプ氏の当選後は一時、政権閣僚に指名される可能性も取り沙汰された。
そのクリスティー氏が4日、保守系ラジオ司会者ヒュー・ヒューイット氏のポッドキャストにゲスト出演。2024年大統領選の行方について「(共和党は)6人から8人で争うことになると思う」と予想した。そのうえで、「党の未来については、私の共和党か、みんなの共和党か、という議論が軸になると思う」と語り、有力候補として、トランプ氏(76)、マイク・ペンス前副大統領(63)、2016年の大統領選に出馬し党の指名争いでトランプ氏と最後まで戦ったテッド・クルーズ上院議員(51・テキサス州選出)、トランプ政権下で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏(58)、保守派の若手で元陸軍士官のトム・コットン上院議員(45)の名を挙げた。
一方で、トランプ氏の後継者的存在とも言われるフロリダ州のロン・デサンティス知事(43)、元サウスカロライナ州知事でトランプ政権下で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー氏(50)、銃擁護や反LGBTQを謳う右寄りの政策で知られるサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事(50)、元フロリダ州知事で現在は共和党上院で選挙対策委員長を務めるリック・スコット上院議員(69)、共和党上院で唯一の黒人議員、ティム・スコット上院議員(56)など、メディアの注目株は軒並み候補から外した。クリスティー氏自身も出馬するのではと一部で噂されているが、本人は候補に含めなかった。
候補者選びの議論は、来年1月23日からスタートし、2024年のアイオワ予備選まで時間をかけて深めるのが良いと話した。
なおトランプ氏は、これまで何度も出馬をほのめかす発言をしているが、公式な出馬表明はしておらず、前回の大統領選でバイデン氏に敗北したのは不正だとする主張に執着し続けている。そうした中、空白を埋めるかのように、リック・スコット氏やペンス氏が党をあげた政策を独自に打ち出すなど、大統領選をにらんだと見られる動きを徐々に加速させつつある。
クリスティー氏は今年5月、ジョージア州の現職ブライアン・ケンプ知事の応援演説にも駆け付けたが、その際、トランプ氏のような「自分のための党」という考え方では勝てず、「昨日のためではなく、明日のための党でなければならない」と呼びかけた。同様にケンプ知事を支持したペンス氏も、予備選挙前のジョージア州の集会で「選挙は未来を決めるものだ」と話した。
5月のジョージア州知事選の予備選挙で、ケンプ知事はトランプ氏推薦のデビッド・パーデュー元上院議員と争い、勝利を収めた。ケンプ知事はもともとトランプ氏寄りとして知られたが、トランプ氏がジョージア州の選挙に不正があったと主張してからは袂を分かつ形となっており、トランプ氏はこの報復にケンプ氏の党内の対立候補としてパーデュー氏を送り込んだ。