16日にワイオミング州で行われた共和党の下院議員予備選では、チェイニー元副大統領の娘で現職のリズ・チェイニー議員(56)が、トランプ氏の支持する候補者に大差で敗北した。結果を受け、トランプ氏はTruth Socialにコメントを連投し、「愚か者」「恥を知れ」など非難の言葉を並べたてた。
95%の開票が進んだ時点で、チェイニー氏の獲得票は28.9%、トランプ氏の支持を受けたハリエット・ヘイグマン候補の66.3%に遠く及ばなかった。昨晩行った敗北演説では「トランプ氏の2020年選挙の嘘」や「民主主義システムをつぶし、共和国の基盤を攻撃する取り組み」に迎合すれば勝利は容易だったと述べつつ、「これは、私が取ることのできない道だった」と説明。「予備選は終わった」とする一方で「本当の仕事がこれからはじまる」と、支持者らに語りかけた。
トランプ氏の2度目の弾劾訴追決議案に賛成票を投じ、議事堂襲撃事件を調査する特別委員会で副委員長を務めるチェイニー氏は、トランプ氏にとってはいわば天敵。ことあるごとに攻撃を繰り返してきた。
演説後、トランプ氏はTruth Socialのアカウントを更新し、「偉大なワイオミング州でちっぽけな群衆を前に行ったチェイニーのパッとしない敗北演説」などと揶揄し、「(チェイニー氏の演説は)大規模で決定的な証拠があるにもかかわらず、2020年大統領選は不正に操作され、盗まれたものではないという信念に焦点を当てたものだった」と従来の選挙不正の主張を繰り返した。「リズ・チェイニーは国家を滅ぼそうとする者たちの手に落ちた愚か者だ」と続けたほか、別の投稿では「自らの振る舞いや悪意に満ちた聖人ぶった言動、他人に対する振る舞いを恥じるべきだ」と攻撃。「彼女はやっと政治的忘却の彼方に消える。そこでは今よりもっと幸せになれるに違いない」と、敗者に嫌味を述べた。
それでも言い足りないトランプ氏は、3回目の投稿で「予想を遥かに超えるチェイニーの大敗を持って、1月6日委員会の政治的ハッキングと悪党どもは、解体手続きをはじめると思うのだが」と、特別委員会の停止に期待を示し、「これ(今回の選挙)は、果てしのない魔女狩りに対する住民投票だ。人々は意思を示したのだ」と投稿した。
11月の本選挙では、共和党が多数派を奪還する可能性が指摘されており、その場合、来年の議会では、議事堂襲撃事件に関連する議会調査が中止されるのは確実とみられる。
弾劾訴追に賛成した共和党の下院議員10人中、議会を去ることになった議員はチェイニー氏を含めると8人になった。このうち4人は引退を表明し出馬していなかった。