ニューヨーク市警察は1日、警官が女性に暴行をはたらいた問題で、ボディカメラの映像を公開した。
騒動があったのは、先月30日午後5時ごろ。マンハッタンのハーレムで、複数の警官が殺人未遂事件の容疑者の男を拘束しようとする間、女性が接近し、男に話しかけるなどした。
公開された動画は2種類あり、最初の映像では、女性が制止しようとした警官に抵抗し、押し合いになった後、突き飛ばされる様子が撮影されている。容疑者の男が「なぜ殴り倒したんだ?彼女を張り倒した!」と叫んで暴れる姿も映っている。
2番目は、突き飛ばした警官のボディカメラの映像で、近づいた女性に容疑者がキスをするような仕草を見せた後、警官が遠ざけようと女性の腕を掴むと「彼に話しているんだ。B****」と暴言をはき、警官をたたくなどする様子が撮影されている。女性が突き飛ばされると、周囲からは「なぜそんなことをする」などの非難の声がとんだ。警官らは女性に「リラックスしろ」と声をかけ、起こしながら手錠をかけた。
スーウェル警察本部長は、警官は女性が逮捕を妨害しようとしたため、空いた手で女性をぶったと説明。現在警官のボディカメラや監視カメラの映像、目撃者の証言などを収集し審査していると述べ、「透明性」を約束すると発表した。
逮捕された女性はタマニ・クラム(Tamani Crum)(19)。警官への暴行や逮捕時の抵抗、公務執行妨害の罪で起訴された。事件直後、意識があったが、本人の希望で病院へと搬送されたという。この他に2人の女性が、警官に唾をはくなどしたとして拘束された。
警官が拘束したのは、エルヴィン・ジェームズ(Elvin James)(22)。今月12日に起きた発砲事件に関して、容疑がかけられていた。
拘束時、弾の入ったゴースト銃や規制薬物を所持していた。ヘイトクライムとしての殺人未遂罪や武器の不法所持などで起訴されたと伝えられている。
女性は提訴の構え
警察がボディカメラの映像を公開する前日、一般人の撮影した動画がSNSに投稿され、物議を醸していた。インスタグラムの映像には、警官の対応は「過度の権力行使だ」「卑怯」「われわれに対する戦争だ」など非難の声が多数投稿されている。
クラム被告の代理を務める人権弁護士アル・シャープトン師らは、警察を訴える可能性を示唆した。一方、警官側の組合も、警官の対応の正当性を主張し、民事訴訟を提起する構えを見せている。