バイデン大統領の「アルマゲドン」発言が大きく報じられるなか、政府関係者らは核の脅威をめぐる評価の説明に追われている。
米国防総省のトッド・ブレスシール広報担当次官補はポリティコの取材に「明らかにしておくが、戦略核の態勢を修正する理由は見当たらず、ロシアが直ちに核兵器を使用する準備をしている兆候も見られていない」と説明。同省のパトリック・ライダー報道官も記者団に、核態勢の変更を必要とする情報はないと語った。
AP通信が報じたところによると、バイデン大統領は6日に出席した民主党上院選挙運動委員会の会合で、プーチン氏の核トークについて「彼が戦術核兵器や生物化学兵器の使用について話す時、ジョークで言っているのではない」と深刻さを強調。「われわれはケネディーとキューバミサイル危機以来、アルマゲドン(終末戦争)の可能性に直面することはなかった」と60年来の危機との認識を示し、「彼の軍隊が、著しく期待を下回っているからだ」と語った。
ウクライナ東部ではロシア軍の劣勢が伝えられており、ゼレンスキー大統領は6日、ウクライナ軍が500平方キロメートルを超える領土をロシア軍から奪還したと宣言している。
この報道の後、バイデン氏の発言が、ロシア軍の行動に関する新たな評価に基づくもであるかどうか、疑問の声が上がっていた。
ジャン・ピエール報道官は7日の会見で、プーチン氏のレトリックは無責任と非難しつつ、「核の態勢を修正する理由は見当たらない」と改めて説明した。
バイデン氏が公ではなく、寄付者らを相手に話した理由を聞かれると「大統領の発言は一貫しており、いかに脅威を深刻に受けとめているかという、これまで言ってきたことを強調したもの」と語った。
ウクライナも同様、指導者の核をめぐる発言が、ロシア側に利用されないよう慎重な対応を求められている。
ゼレンスキー大統領は6日、オンラインで参加したシンクタンク主催の会合で、ロシアによる核兵器の使用を阻止するために、NATOによる「先制攻撃」が必要と考えを示した。
Kiev Postによると、ゼンレンスキー氏は、NATOの目的は、ロシアの核兵器使用を不可能にすることだと話し、「2月24日以前と同様、もう一度国際社会に訴える。先制攻撃をすれば、ロシアは何が起きるのかを理解する。この逆はない」と主張した。
この発言に、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ほかでもなく世界戦争の開始を呼びかけている」と非難。ロシア国営メディアに、米英はキーウの活動を管理しており、ゼレンスキー氏の発言に責任を負わなければならないと主張した。
ロシア外務省のザハロワ報道官もゼレンスキー氏の発言に言及。テレグラムの投稿で「地球上のみんなが、武器を送り込まれた操り人形のゼレンスキーが、地球を破壊できる怪物に変身したことを認識しなければならない」と警告した。
この後、ウクライナのニキフォロフ大統領報道官は、先制攻撃は、侵略開始前の「予防的制裁」を指したものと、ゼレンスキー氏の発言を明確化した。