ロシア国防省は15日、軍演習場で、射撃訓練中に「テロ攻撃」があり、11人が死亡、15人以上が負傷したと発表した。
事件が起きたのはウクライナと国境を接するベルゴロド州南西部にある軍事演習場で、独立国家共同体の出身者2人が、兵士らに発砲した。2人とも反撃に合い、殺害されたとしている。
一方、ロシア人ジャーナリストによる独立プロジェクトASTRAは、事件を目撃した兵士の話しから、宗教がらみの事件の可能性があると伝えている。
ASTRAによると、自身も負傷し入院している兵士は、ダゲスタンとアゼルバイジャン、アディゲ出身の兵士らが『自分たちの戦争ではない』と主張し、これ以上は奉仕したくないと報告書を作成しようとしたことが始まりだったと説明した。
問題を知ったアンドレイ・ラパン中佐は全員を集め、「これは聖戦だ」と説得し始めたという。これに対して、タジキスタン出身の兵士らが「聖戦は、イスラム教徒と異教徒の戦争だ」と反発すると、中佐は、アッラーについて「臆病だ」と発言したという。
取材に答えた兵士は、将校の中にもイスラム教徒がおり、この発言が「多くの人を傷つけた」と指摘。事件の主な理由との見方を示した。
事件の様子については、この約1時間半後に射撃訓練場に集まった際、タジキスタン出身者3人が、機関銃でラパン中佐を殺害し、さらに無差別に発砲したと説明。現場には契約兵と徴集兵が混じっており、犯人以外の死者数は30人で、負傷者の正確な人数は不明だとしている。犯人のうち2人は殺害されたが、1人は逃走したという。3人はまた、敬虔なイスラム教徒だったが、時間通りに礼拝をすることが許可されず、場所が与えられないことに、不満を示していたという。
プーチン大統領は14日、先月21日に発令した予備役の部分的動員を2週間以内に終了するとの見通しを示した。これまでに22万2,000人を招集し、すでに1万6,000人が戦闘に加わっているという。当初の計画では30万人を目指すとしていた。