ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、バイデン政権は水面下で、ウクライナの指導者らに対して、和平交渉を拒否する発言を取り下げ、オープンな姿勢を示すよう促しているという。ワシントンポスト紙が関係者の話として伝えた。
同紙は、ウクライナに交渉のテーブルにつくことを強制するものではなく、各国からの支援継続を確保するための戦略的な取り組みだとしている。
ロシアによる侵攻の開始当初、ゼレンスキー大統領は交渉の意思を示し、両国代表団の間で停戦交渉が複数回実施された。しかしロシアがウクライナ東・南部4州の併合した後、プーチン大統領との交渉を「不可能」とする大統領令に署名した。
こうした姿勢に、一部の国は懸念を強めている。先月、国連で採決が行われたロシアによる4州「併合」を違法で無効とする非難決議で、南アフリカは棄権に加わり、停戦と政治的解決を促進することに集中すべきだと主張した。
ブラジルの次期大統領、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ氏は、ゼレンスキー氏は戦争について、プーチン氏と同様に責任があると主張。バイデン大統領は戦争を回避せず、助長していると非難している。インドのモディ首相はゼレンスキー氏との電話会談で、和平交渉への支援を申し出たが、拒否された。
米国内では、冷戦以来最大に達している安全保障支援について、議会の支持にやや陰りが見え始めている。
共和党下院のトップ、ケビン・マッカーシー院内総務は先月、11月8日の中間選挙で共和党が多数派を奪還した場合、ウクライナに対する「白紙の小切手」は提供しないと警告した。トランプ派のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は先日の政治集会で「共和党のもとでは、これ以上は一銭もウクライナには回らない」と宣言し、物議を醸した。
民主党の左派議員らは先月、後に撤回したものの、ホワイトハウスに送った書簡で、戦争終結に向けてロシアと直接交渉することを求めた。
バイデン氏は、「必要な限り」支援を継続する考えを繰り返し強調している。金曜日にキーウを訪れたジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)は会見で、米国の支援は、中間選挙後も「揺るがない」と約束。支援を提供するために「両党から票を取りつける」と語った。