16日、ウクライナの防衛に関する多国間の協議を終えたミリー統合参謀本部議長は会見で、必要な限り支援を継続すると繰り返し強調しつつ、ウクライナが近く軍事的勝利を収める可能性は「高くない」と分析。戦闘の停滞が予想される冬に、交渉をはじめることに期待を滲ませた。
ミリー氏は、「自然な傾向」として、冬の厳しい天候のもとでは戦術作戦が停滞するとした上で、戦闘の減速が起きれば、政治的解決のきっかけになる可能性があると説明。「バイデン大統領とゼレンスキー大統領自身も、最終的に政治的解決があるだろうと言っている」と語った。
戦況について、9月以降のウクライナ軍の東・南部における反撃は「すばらしい」と称賛し「ハルキウで大成功し、ヘルソンではより大きな成功を収めた」と説明。ロシア軍は大量の兵を失い、数字は機密であるとしながらも、大量の戦車と歩兵戦闘車、第4、5世代の戦闘機やヘリを失ったと語った。
一方で、ヘルソンとハルキウは全体に比べて「物理的、地理的」に小さく、ロシア軍を完全に国土から追い出すことは「非常に困難なタスク」と指摘。そのような軍事的勝利がすぐに起きる可能性は低いとした。ロシア軍の占領範囲は長さ900km、幅75~80km程度で、ウクライナの国土の約20%に相当すると説明し「小さくはない」と述べた。
「強い立場から交渉したい」と話し、「ロシア軍は本当に傷ついている。自分が強く、相手が弱っている時に交渉する必要がある」と語った。
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ゼレンスキー大統領は先月、プーチン大統領との交渉を「不可能」とする大統領令に署名したが、7日のテレビ演説で「ウクライナ領土の回復」や「戦争犯罪人の処罰」「侵略による損害の補償」などの一定条件が満たされるならば、交渉をする用意があると発表している。