米防衛大手ノースロップ・グラマンは2日、開発中のステルス戦略爆撃機「B-21レイダー」を披露した。
披露式典は、カリフォルニア州パームデールにある同社の施設で行われ、従業員2,000人に加え、ロイド・オースティン国防長官を含む600人のVIPが参加した。
イベントは国歌斉唱とB-52ストラトフォートレスとB-1ランサー、B-2スピリットのフライオーバーでスタート。グラマンのCEO、キャシー・ワーデン氏のスピーチに続いて、格納庫が開き、機体が姿を現した。
その後演壇に立ったオースティン長官は、B-21は、米国にとって30年ぶりの新たな戦略爆撃機だと説明。航続距離に関して「その効率性に匹敵する長距離爆撃機はない。戦域に置く必要はなく、後方支援もいらない」とした。ステルス性について、50年におよぶ技術が集結され「最も洗練された防衛システムでさえ、空のB-21を検出するのに苦労するだろう」と話したほか、「通常弾薬と核弾薬の両方を恐るべき精度で発射するように設計されている」と加えた。
B-21は全翼機で、形態は前身のB-2に類似している。ワーデンCEOはブレーキング・ディフェンスの取材に「B-21のエクテリアを見ると、B-2と非常に似ている」とした上で「真の違いは、プラットフォームの内部だ。B-2を製造した時からB-21を開発した時点まで、どれだけデジタル技術が進歩したのか想像できるでしょう」と説明した。
ABCニュースによると、今回披露された機体は、来年にカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で飛行試験を開始する。現在6機がさまざまな製造段階にあるという。空軍は少なくとも100機を調達する計画で、第一号機の就航は2020年台半ばを目指している。最終的にB-1とB-2を置き換える。
B-2は海外に一時的に配備されていない場合、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地に収容されるが、B-21は、サウスダコタ州のエルスワース空軍基地に配置することを計画している。ただし、テキサス州のダイス空軍基地がこの代替地になる可能性もあるという。
なおB-2も100機以上を保有する計画だったが、コストの問題とソ連崩壊後の安全保障環境の変化により、生産されたのは21機だった。B-21を100機開発・運用するコストは今後30年間で2,030億ドル(2兆7,000億円)ともみられている。
B-21レイダー(Raider)の名前は、第二次世界大戦の1942年に、日本本土に対して初めて行われた空襲「ドーリットル空襲(Doolittle Raid)」に因んだものだという。
<エドワーズ空軍基地が公開した式典の様子>