ノースダコタ州の空軍基地近くで、中国企業が農地を購入し製粉工場を建設する計画を進めていることについて、空軍は、国家安全保障にとって重大な脅威になる可能性があると評価を示した。
建設予定地は、ノースダコタ州北東部にあるグランドフォークス空軍基地から20kmほど離れた約300エーカーの農地で、昨年、山東省を拠点とするフーホン・グループが320万ドルで購入し、7億ドルを投じて工場を建設する予定だと報じられた。
計画をめぐり、一部の議員らから懸念を示す声が上がっていた。
共和党の議員51人は昨年9月、バイデン政権の閣僚3人に宛てた書簡で「中国共産党と密接なつながりを持つ製造業社のフーホン・グループ」が、「軍事施設の近くに存在することは、われわれの高度な軍事基地の完全性を損ない、戦略的利益を危険にさらす可能性がある」と警告。商業を隠れ蓑に「スパイ活動が行われる有利な機会」になりかねないとして、「効果的な措置」を取るよう訴えた。
ノースダコタ選出のジョン・ホーベン上院議員に宛てられた1月27日付の書簡で、空軍のアンドルー・ハンター次官補は、グランドフォークスは空と宇宙に関連する軍事活動の中心だと説明。同問題について政府の対米外国投資委員会は司法管轄権を持たないと結論づけたものの、空軍の見解は明確であるとした上で、「提案されたプロジェクトは、国家安全保障に対する重大な脅威で、地域におけるわれわれの運営に著しい影響を及ぼすという短長期のリスクを伴う」と評価を伝えた。
グランドフォークス市では、少なくとも200人の雇用創出と数百万ドルの税収を期待していたが、31日になって同市のブランドン・ボチェンスキー市長は計画中止を求める意向を表明した。
FOXニュースによるとボチェンスキー市長は「連邦政府から、計画発表以来、地政学的緊張が高まっており、プロジェクトの中止に関して、連邦政府から市に協力の要請があった」と明かし、「この指示に応えるために市が行使できる唯一の措置は、産業インフラの接続を拒否し、建築許可を却下することだ」と説明。「これらの措置を講じ、市議会の承認を待ってプロジェクトを中止するよう要請する」と語った。