メーガン妃に名誉を傷つけられたとして、母親違いの姉、サマンサ・マークル氏がフロリダ州の連邦地方裁判所に訴えを起こした裁判。15日、オンラインによる審問が行われ、原告側は、メーガン妃は成功物語をでっち上げ、これを隠蔽するためにインタビュー番組と出版物を用いて姉をこき下ろす手段に訴えたと非難した。メーガン妃側は、サマンサ氏の主張には「致命的な欠陥」があるとして棄却を求めた。デイリーメールが伝えた。
判事は、判決を後日伝える、原告側の主張に「理解に苦しむ」と否定的な見解を示したほか、サマンサ氏の弁護士も途中、自ら主張の弱さを認める場面があったという。
サマンサ氏は昨年、2021年3月に放送された大物司会者オプラ・ウィンフリーとのTVインタビューや2020年に出版された伝記本「Finding Freedom」に記された内容が名誉毀損にあたるとして、7万5000ドルの賠償金を求める訴訟を提起した。訴状で、メーガン妃が家族をあたかも貧困家庭のように語りシンデレラストーリーを演出した上、「一人っ子として育った」と偽ったと主張。「偽りで悪意のある嘘」をついて、自分を「世界的規模で屈辱と恥、嫌悪にさらした」と主張している。
審問には、サマンサ氏も自宅から参加した。
サマンサ氏の代理人ピーター・ティクティン氏は「彼女(メーガン妃)はバレたのだ。全部奨学金をもらったという教育に関する嘘をついた。父親が学費を払ってくれたのに、こんな嘘が明るみに出たのだ」と述べた上で、「それ以外に、姉をけなす理由があるだろうか?父親をこき下ろす理由があるだろうか?ずっと良くしてくれた家族を否定する理由があるだろうか?」と主張。「無一文から金持ちになったというでっちあげの話を隠蔽するために、彼らを否定したのだ。おそらく姉に害を及ぼすとは思いもしていなかっただろう」と非難した。
これに対して、メーガン妃の代理人マイケル・カンプ氏は、原告側弁護士の発言の90%は「不適切」で、メーガン妃に対して「攻撃的」と批判。「原告はメーガン妃自身の幼少期の心象を問題としているが、法廷の題材としてふさわしくない」とし、「問題とされている発言は、法律上、名誉毀損に当たらない。意見を述べたり、批判したりする権利も、憲法修正第1条で保障されている」と反論した。
カンプ氏はまた、原告が「中傷的」とした10の発言のうち、7つは「Finding Freedom」から引用されたもので、メーガン妃は執筆しておらず、出版してもいないため除外されるべきだと主張。「フロリダにおける法律は明らかで、被告が虚偽の発言をした、または出版していなければならない」と加えた。
なお「Finding Freedom」は、二人の出会いから王室離脱までを、王室ジャーナリストが友人や関係者らに対する取材をもとにまとめた伝記本。メーガン妃は取材に答えていないが、デイリーメールとの訴訟のために用意した声明で、友人に話しをする許可を与えるなど、部分的に介入したことを認めている。
カンプ氏は、オプラとのインタビューの「一人っ子」発言については、文脈を考慮すれば名誉毀損にあたらず、「彼女自身の個人的かつ主観的な感情の表明、表現」だと主張した。
インタビュー当時、第2子リリベットちゃんを妊娠していたメーガン妃は「私は一人っ子として育ったが、それは私の周りで育った人なら誰でも知っていることだ」と述べ、「兄弟がいたらよかったと思う。だから、アーチーに誰かができるように、妊娠をとても楽しみにしている」と語った。
続けてサマンサ氏については「彼女に最後に会ったのは少なくとも18年から19年前だったはずだ」と説明。「彼女はあなたを本当に知っているのか」と聞かれると、「いいえ」と否定した上で「彼女が姓をマークルに戻したのは、当時50代前半だったと思うが、私がヘンリーとデートを始めた後だった」と話した。
この発言を原告側が「日和見主義」と侮辱する意図があると主張していることに、カンプ氏は「日和見主義」は名誉毀損にならないとしたほか、「実質的に真実」と判事に説明した。
判事は途中「本にある中傷とされる記述を出版した責任が、どうして彼女にあるのか理解に苦労する」と、ティクティン氏に伝えたという。ティクティン氏も自ら「世界で最も強い訴訟」とまではいかないがと主張の弱点を認めつつ、裁判の進行に伴い強くなることを望んでいると話す場面があった。
判事は、判決文を後日出すと告げたという。
サマンサ氏はメーガン妃とヘンリー王子の証言録取を要求している。メーガン妃側は先週、却下するよう申し立てをしたが、判事はこれを認めなかった。判事が、訴訟を先に進める判断を下した場合、二人は7月までに宣誓証言に応じなければならないという。