メトロポリタン美術館が、ニューヨーク市外からの来館者から、入場料を徴収することを検討していると、ニューヨークタイムズが報じた。
現在のメトロポリタン美術館の入場料を支払うかどうかは、入場者の任意となっている。美術館はSuggested admission(推奨)として25ドル(大人料金)を提示しているが、無料で入場することができる。これは、市の所有地を無償で貸し出す代わりに、美術館を無料で一般に解放するという法律がベースとなっている。
入場有料化は市職員がニューヨークタイムズに語ったもので、一年ほど前から、市と美術館の間で話し合われてきたという。
現在、美術館の財政は赤字で、その額は1500万ドル(16.5億円)に上る。年間のオペレーションコストは3億3200万ドルで、ニューヨーク市は年間2600万ドルを拠出している。また、2016年の入場料による収入は3900万ドルを計上している。
美術館は経営立て直しの一環として、スタッフや年間のエキシビジョン数の削減(現在の約60から40に)、美術館の拡張計画の先送りなどを発表している。また、2月には、経営悪化の責任を取ってトーマス・キャンベル館長の辞任が決定している。
メトロポリタン美術館の年間来館者のうち、63%は市外からと推定されている。これらの人々に対する入場有料化は経営改善に大きく貢献することが期待されるが、先の法律に加え、入場口での確認が現実的に可能であるかとの問題も指摘されている。また、郊外居住者で、市内で働く人々から徴収することが公平性に反するのではないか、との意見や、有料化による入場者数の減少を懸念する声も上がっている。
昨日のニュースカンファレンスで、ニューヨークのビル・デブラシオ市長は、ニューヨーカー以外を対象とした入場料の有料化に支持を表明した。また、美術館の代表を務めるダニエル・ウェイス氏は、市長とのパートナーシップを強調した上で、「この先、市長とともに活動していくことを楽しみにしている」と発表。有料化に向けて、市長と足並みを揃える意向を示した。