「マスク義務化の政策は失敗」米有力紙コラムニスト、保健当局過ち認めるべき

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ニューヨークタイムズのコラムニスト、ブレット・ステファンズ氏は21日の論説投稿で、コロナウイルスを含む呼吸器感染症の蔓延防止策としてのマスク着用義務化に有効性がないとした研究論文に触れ、着用促進に執着する米保健当局は公共機関としての信頼を損なったと主張。科学の敵とされるところの陰謀論者の共犯者に成り下がっていると批判した。

ステファンズ氏が取り上げたのは、オックスフォード大学の疫学者、トム・ジェファーソン氏らが約80件におよぶ臨床試験を分析、評価したもので、先月、医療や健康政策分野のシステマティックレビューに関して定評の高いコクランレビューに発表された。

ステファンズ氏は「マスクの有効性について実施された科学的研究の最も厳密で包括的な分析が発表された」とした上で、ジェファーソン氏がジャーナリストに話した言葉を引用し、「マスクが違いを生むという証拠はまったくない」と説明。続けて、低品質な一般的なマスクではなくN95マスクであっても「違いはない」とし、手の消毒やソーシャルディスタンス、空気の濾過といった他の対策と組み合わせた場合でも、マスクの有用性を示す証拠はないと加えた。

論文は、コロナのパンデミック時に行われた6件の臨床試験を含む、78件の無作為化比較試験に基づいたもので、参加者は複数国の合計61万人におよんでいる。

ステファンンズ氏は、論文は個人的レベルでの効果の有無を証明したものではなく、着用の選択は個々人にあるものだとする一方、「人口レベルのメリット」に関しては「マスク義務化は失敗した」という評決が下ったと指摘。「変人として猛烈にばかにされ、誤情報の提供者として検閲された懐疑的だった人々は正しかった。義務化を支持したメインストリームの専門家や評論家は誤っていた」と述べ、後者は過ちを認めるべきだと主張した。

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疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長が今月の議会証言で、ジェファーソン氏の分析に疑問を呈し、学校におけるマスク着用の方針を崩さない姿勢を示した点に触れ、「なぜCDCがリスペクトを失っているのか疑問に思うならば、自分を見つめ、辞任し、センターの再編を他の人材にまかせるべきだ」と厳しく非難。さらに「CDCのマスク着用ガイダンスに対する間抜けな執着」は「効果的な公共機関として機能するために必要な信頼を損なう」だけではなく「科学に期待される価値観と実戦をあまりに悪く表現することで、知らぬ間に理性と科学の真の敵である陰謀論者とヤブ医者の共犯者になっている」と主張した。

コクランレビューが、マスクに関する議論に終止符を打つはずだと指摘。パンデミック初期にマスクはウイルスに対して何かをする効果的な方法と思われたが、「何かをするというのは、科学ではなく、公共政策であってはならなかった」とした上で、「勇気を持って発言した人々は、侮蔑的に扱われるのではなく、耳を傾けてもらうに値する。謝罪の言葉を受けることはないかもしれないが、名誉挽回には十分だろう」と締めくくった。

米政府はパンデミックがはじまった3月、健康な人々にはマスクの着用を推奨しないとしていた。人々がマスクの購入に殺到し、医療現場で深刻なマスク不足に陥る懸念が高まっていた頃で、当時のジェローム・アダムス公衆衛生局長官は、「真剣に聞いてほしい、マスクを買うのをやめて!」とツイッターで呼びかけた。CDCや医療専門家も健康な人がコロナウイルスから守るためにマスクは必要ないとの見解を示していた。

ところが4月に入ると、2歳以上には屋外でのマスク着用を推奨すると方針を転換した。

その後、ビジネスや公共の場でのマスク着用の動きが加速し、最終的にマスク着用の義務化は39州に広がった。この間、マスクを巡るトラブルや事件も頻繁に発生し、SNSでは、店内や乗り物内で生じたトラブルに関する動画が、連日のように話題となった。

Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。