ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年を迎えた中、共和党上院の有力議員テッド・クルーズ氏(テキサス州選出)が、民主党議員らが、ウクライナ国旗を美徳を示すための道具に利用していると批判した。
クルーズ議員は自身のポッドキャスト「Verdict」で、主に民主党議員らがウクライナ国旗のピンバッジなどをつけて議会に出席する様子に言及し、「ウクライナ国旗はまるで、コロナ禍のマスクだ。美徳を示すサインだ」と語った。
ウクライナへの連帯を示すため、同国国旗のデザインをあしらったアイテムを身に着ける動きはアメリカ中で広がっている。連邦議会でも、ウクライナ国旗や国旗に見立てた黄色と青のデザインのバッジ、スカーフ、ブレザーなどを身につけて出席する議員が主に民主党に多い。ただ、先日の一般教書演説などでは民主党だけでなく、上院トップのマコネル院内総務をはじめ、共和党でもウクライナ国旗デザインのアイテムを身に着ける議員が少なからず見られた。
クルーズ議員はさらに、バイデン政権はウクライナの戦争に対し国として明確な対策を持っていないと批判した上で、「ウクライナ戦争への無制限の支援に、議会の我慢は急速に消え失せようとしている」と、期限を設けない支援継続に懐疑的な考えが広がりつつあると主張。「共和党が連邦下院の多数派となった今、支援金の使途についてより綿密な調査が行われるだろう」とし、今後は軍事支援金の拠出が厳しく制限されると予想を語った。
一方で、「ウクライナ市民が自衛できるだけの武器や弾薬の供与自体には、進んで協力したい思いはまだあると思う」と、効果的な支援には前向きな考えを示したうえで、支援金の用途の明確化を訴え「無制限な支援金がウクライナ政府に流れることは、ほぼ望まれていない」とした。
ロシアのウクライナ侵攻開始から1年が経過した今週、ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領はそれぞれ国民向けに演説し、戦い続けることの意義を訴えた。
アメリカは、バイデン大統領がウクライナを電撃訪問したのち、ポーランドで演説。北大西洋条約機構(NATO)加盟国としてウクライナへの揺るぎない連帯を改めて強調した。一方で、下院共和党の間ではウクライナへの軍事支援を法律で制限しようという動きもあり、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は24日、米国がウクライナに拠出した数十億ドル規模の支援金について、監査を求める決議案を提出した。