シリコンバレー銀行(SVB)の破綻の影響は、裕福なテック企業の創業者らにとどまらず、スモールビジネスのオーナーたちにも波及している。
ハンドメイドやビンテージ商品を売買できるとして急成長を遂げた大手マーケットプレイスのEtsyは、10日にセラーに送ったメールで、同日予定していた入金が遅れると通知した。理由は、SVBの破綻に関連するものだとした。
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2015年からEtsyで商品を販売する女性は、TikTokに投稿した動画で、「明日使えるように入金されるはずのお金が、私の普通預金口座に送られていないことに今日気がついた」とし、「そうしたら、シリコンバレー銀行のせいで入金できないとメールが届いた。私のお金で、一生懸命働いたものだ」と説明。「数日後に住宅ローンを支払わなければならないのに、彼らが私のお金を保留にしているから支払えない」と不安を口にした。
自身のオンラインショップとEtsyを併用しているという女性は、「私は3歳児の母親で、スモールビジネスを運営していて、自宅で営んでる」と話し、「これらの資金で家族を養い、支払いをしている」と明かした。月曜日には入金が再開されることを願うとしつつ、自分のオンラインショップで購入するよう呼びかけた。
NBCによると、同社はメールで、SVBを一部のセラーへの支払いに利用しているとした上で、「できるだけ早く入金ができるよう他のペイメントパートナーと協力している」と説明。「皆さんがビジネス運営の助けとして、われわれを頼りにしていることは承知しており、必要な時に資金を受け取ることがいかに重要であるか理解している」と述べた。
レーザー彫刻機を使ってパーソナライズ商品を販売する男性は、NBCの取材に、入金の遅れは「壊滅的」なダメージを与えると悲鳴をあげた。送料や材料費などの支払いをEtsyからの入金に頼っており、すでに仕入先の1つに注文を遅らせるよう依頼したという。自分のオンラインショップがあるが、Etsyがビジネスの大部分を占めているという。
カリフォルニア州の金融規制当局は10日、「流動性の不足と債務超過」を理由にSVBに閉鎖を命じ、預金保護のために連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に指名。これを受け、FDICは別組織を設立し、資金を直ちに移動したと発表した。保険のかかった預金(1人当たり25万ドルまで)は、月曜日までに利用できるようになるとした。
25万ドル以上の預金者が全額を取り戻せるかどうかは、規制当局が資産売却で得られる金額、または他の銀行が残りの資産の所有権を取得するかどうかで決まる。その間、一部の企業では給与支払いに支障が出るなどの懸念が広がっているという。
テック企業やスタートアップを主な取引先としているSVBの純資産額は約2,000億ドルで、破綻銀行の規模としては、2008年に破綻したワシントン・ミューチュアルに次ぐ米史上2番目と報じられている。