ニューヨークの金融規制当局は12日、預金者保護のため、ニューヨーク州を拠点とするシグネチャ銀行を閉鎖し、連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に指名したと発表した。先週金曜日には、全米16位のカリフォルニアにあるシリコンバレー銀行が、「流動性の不足と債務超過」を理由に閉鎖され、FDICの管理下に置かれた。
ニューヨーク州金融サービス局によると、昨年末時点の同行の純資産は1103億6000万ドル、預金総額は約885億9000万ドル。決定は、ニューヨーク州銀行法606条に基づくものとしており、それによると、法令違反、事業継続に不健全な状態、財務上の義務の履行不能、当局が命じた調査に応じないなどの問題が認められた場合、当局が銀行の業務及び財産を占有するとしている。
キャシー・ホークル知事は同日、金融サービス局の監督官と政府当局者らと「ニューヨーカーが懸命に稼いだお金」を保護する方法について話し合ったとした上で、連邦当局の介入を歓迎し、一連の措置が、金融システムの安定性への信頼を高めることにつながることを望むと発表した。
シグネチャ銀行のホームページによると、州内の支店は29ヶ所で、コネチカットとネバダに各1ヶ所、ノースカロライナに2ヶ所、カリフォルニアに7ヶ所ある。
The Vergeによると、同行は、仮想通貨の扱いで広く利用されている2つのうちの1つの銀行で、今月8日に精算計画を発表したシルバーゲート銀行と同様に、仮想通貨関連の企業がリアルタイムでドルを送金できるネットワークを持っていた。両行の消滅により、ドルへの換金に困難が生じる可能性もあるという。
暗号資産取引所のコインベースはツイッターで、シグネチャ銀行に2.4億ドルの残高があると説明。FDICによって同行の取引が停止されたため、すべての顧客の現金取引を他の銀行パートナーとの間で行っているとした。残高について、全額回収できることを期待していると投稿した。
イエレン財務長官は12日、パウエルFRB議長とFDICとの共同声明を発し、同行に関して、シリコンバレー銀行と同様の「システミックリスク例外」の適用を承認し、すべての預金者は保護されることになると発表した。