FOXニュースの司会タッカー・カールソン氏は13日、共和党の大統領選候補者と出馬の見込みのある政治家に対して、ウクライナ侵攻のスタンスに関する質問状を送ったとし、その回答を共有。現職の共和党議員らが「ネオコンの傾向」があるのに対して、回答者らはおしなべて異なっていると話した。
「米国はロシアのレジームチェンジを支援するべきか」との質問に、かねてから自分が再選していれば侵攻はなかったと主張するトランプ前大統領は、「ノーだ。われわれは米国でレジームチェンジをすることの方が、もっと重要だ」と回答。「バイデン政権が、われわれをこの混乱に陥れた」と非難し、直ちに和平交渉を行い「死と破壊を今すぐに終わらせなければならない」と表明した。
世論調査でトランプ氏に次ぐ支持率を獲得し、出馬が有力視されているフロリダ州のデサンティス知事は、「(体制転換は)ワシントン中枢の外交政策介入論者の間で人気があるのは間違いない」考えだとしつつ、「紛争をめぐる利害関係を増大し、核兵器使用の可能性を高める」と警告した。
「ウクライナでロシアに対抗することは、米国の重大な戦略的利益か?」との問いでは、デサンティス氏は、侵攻は「領土問題」だとし、戦略的利益にあたらないと否定。米国にとって重大なのは「国境の安全を確保し、軍隊の即応性の問題に対処し、エネルギー安全保障と自立を達成し、中国共産党の経済力、文化、軍事力を抑制すること」と主張した。目的や責任を明確にしないバイデン政権のウクライナに対する「空白の小切手」は、「我が国の喫緊の課題から目をそらすことになる」と批判した。
トランプ氏は「ノーだ。ヨーロッパのためだ」と述べ、ヨーロッパの同盟国は「われわれよりはるかに大きいか、同等を支払うべきだ」と従来の主張を繰り返した。
今月出馬を表明した実業家のビベック・ラマスワミ氏は、重要ではないとする一方、米国がエネルギー面で自立し、ヨーロッパがロシアではなく米国に頼っていれば侵攻はなかったかもしれないと主張した。なお出馬を表明している3人の候補者のうち、ニッキー・ヘイリー氏は回答していない。
これに対して、ペンス前副大統領は「共和党にプーチン擁護派の入る余地はない」とした上で、「米国の戦争ではないが、プーチンが戦争をやめ、ウクライナ’が迅速に主権国家として回復されなければ、彼はNATOに向かって動き続ける」と警告。「米国はその時、自国の軍隊を派遣するよう求められる」とした。
「米国のウクライナ支援の目的は何か?」との質問で、デサンティス氏は「もちろん平和だ」と述べつつ、ウクライナに国境を超えた攻撃を可能にする支援を提供するべきではなく「F-16や長距離ミサイルの提供は議論の余地はない」と主張した。一方のトランプ氏は「ヨーロッパを助け、安全にすることだが、ヨーロッパは自分で助けていない」と強調。「非常に不公平だ」と加えた。
ラマスワミ氏は、ブタペスト覚書の尊重を取り戻すこととするとともに、プーチン氏の軍が張り子の虎だという一つの目標を達成したが、ロシアの将来の侵略を抑止すること、ヨーロッパに「自分で自分を助けるように」促すという2つの目標が未達成だと加えた。
「ウクライナ支援の限度」について、ラマスワミ氏は大統領になったら「ウクライナへの資金または支援を制限する」と述べ、ヨーロッパ諸国は「もっとやらなければならない。彼らの裏庭であり、国境なのだから」とした。
ノーム知事は「核戦争のリスクに税金を無駄遣いするべきではない」と主張。
トランプ氏は、プーチン氏との会談に「強く依存する」と、当選の暁には直接交渉を行う意欲を示し、「ヨーロッパが払わなければならない」と再び強調した。
ペンス氏は「空白の小切手」は支持しないとしつつも、「支援を差し控えたり、減らしたりすれば、結果がついて回る」と警告。その場合「コストははるかに大きくなる」と述べた。
議会の共和党主流派は支援を強く支持しており、今回の回答からは、ペンス氏などを除き、候補者らの考えとの隔たりが示された。
共和党の上院トップ、ミッチ・マコーネル氏は2月、「安全で安定した欧州」は国益のための「直接投資」だと主張。「もしプーチンに、ヨーロッパを不安定化させ、自由自在に侵略、殺害を許せば、ドルや安全保障上のリスクの面で、米国が長期的に被るコストは、天文学的数字に達するだろう」と考えを示した。