ニューヨーク市として史上初となるネズミ駆除を専門とする担当官、通称「ネズミ取締官」が誕生した。
12日に会見を開いたエリック・アダムス市長は、新たにネズミ駆除ディレクターに就任したキャサリーン・コラディ氏を紹介。ネズミを「公共のナンバー1の敵」と述べ、5つの行政区を対象にネズミ削減を専門で主導する「ネズミ取締官」に同氏を迎えられることを誇りに思うとした。
「ネズミ以上に嫌いなものはない」と以前から宣言していたアダムス市長は、昨年12月、ネズミ駆除ディレクターを年棒17万ドル(約2,275万円)で求人募集すると発表していた。
発表資料によると、コラディ氏は、小学校教師としてキャリアをスタート。ブルックリン植物園のプログラムリーダーを務めた後、市教育局でさまざまなプロジェクトを主導してきた。主な功績には、公立学校の廃棄物ゼロプログラムの開発があるほか、開発資金5億ドルを管理し、学校の建物利用の最適化に関する計画を手がけた。ネズミ対策も経験済みで、120校を対象にした「ネズミ緩和計画」のタスクフォースを主導した。
そんなコラディ氏は、「ネズミ駆除の最初のディレクターとして、科学とシステムに基づいたアプローチでネズミと闘うことにワクワクしている」と説明。「ニューヨークはピザラットで有名だが、ネズミやその繁殖を助長する環境は、もはや許されない」と述べ、「ネズミを追い出すことを楽しみにしている」とネズミたちに宣戦布告した。
ニューヨークではこれまで、券売機の中で暴れるネズミ、エスカレーターを使うエクササイズラット、自分の体より大きいピザを運ぶいじましい姿が話題になったピザラット、手すりをよじ登るボールダンスラットなど、さまざまな動画がSNSに投稿され、話題になっている。
アダムス市長はさらに、ハーレムにネズミ対策ゾーンを設け、駆除の取り組みを加速させるために、市の複数機関に合計350万ドル(約4億6千万円)を提供する計画を明らかにした。
計画では、同地域に検査や駆除、清掃を行う19人のフルタイムスタッフと季節スタッフ14人をあてるほか、廃棄物や駆除用品を適切に処理、管理する新設備の導入、巣穴周りにワイアーのレースのようなものを張り巡らすなどの新たな排除方法を実施する。民間の建物に対して年2回の検査を実施し、ネズミ対策に関する違反施設の摘発につとめ、衛生的な環境維持を徹底させる計画を示した。