ニューヨーク市では来月12日から、デリバリーワーカーの最低賃金を定めた規則がスタートする。
新規則では、デリバリー企業は配達員に時給17.96ドル(約2,500円)または、トリップタイム(配達のオファーを受けてから届けるまでの時間)1分あたり50セント支払わなければならない。
時給はチップとは別にデリバリーワーカーがアプリに接続している全時間に発生するもので、オファーを待っている時間も含まれる。市が2021年に実施した調査では、デリバリーワーカーの1時間あたりの賃金の中央値は、7.94ドルだった。
AP通信によると、最低時給は2025年4月までに19.96ドルに引き上げられることが決まっている。トリップタイムでは、2024年4月までに53セントに、2025年4月までに55セントまで引き上げられる。2025年以降数年は、それぞれインフレ率に応じて調整する。
ニューヨーク市議会は2021年9月、デリバリーワーカーの最低賃金の確立やトイレへのアクセスを保証するなど、待遇改善を定める複数の法案を可決していた。
企業側は反発
企業側は、最低賃金ルールはデリバリーワーカーにかえって悪影響を及ぼすとして、反発している。
Uber Eatsの広報担当はAPに宛てた声明で「市はデリバリーワーカーに嘘をついている」と主張。「彼らは、仕事を奪い、チップを減らし、残った労働者に注文を早く届けることを強いることで、アプリ側に上昇分の資金を提供させようとしている」と述べた。
もう一つの大手DoorDashは「極端な賃金ルールに至った支離滅裂なプロセスを考慮し、多くの配達員が依存している柔軟性を保護し続けるために、訴訟を含むすべての方法を模索し続けていく」と提訴する可能性を示唆した。
テック・クランチは、企業側は、最低賃金の代わりにすべての注文を受けることを求め、パートタイムのデリバリー・ワーカーのアプリへのアクセスを制限する方向に動く可能性があると指摘。さらに、異なるアプリの注文を同時にこなす行為を防ぐため、プラットフォームに変更を加えなければならないだろうとしている。