観光客で賑わうマンハッタンのタイムズスクエアにオイルサーディン缶詰だけを販売する専門ショップ『The Fantastic World of the Portuguese Sardine』がオープンした。
場所は48thストリートとブロードウェイの角(1592 Broadway)。店内はアンティークな図書館風の内装で、本ならぬ色とりどりの缶詰がずらりと並ぶ。
壁一面に陳列された缶詰の表面には1916年以降の年がデザインされている。もちろん製造された年ではなく、記念品や誕生日プレゼントとして喜ばれることを考えたものだという。その年に生まれた有名人の名前も合わせて印字されている。
店を運営するのは、1942年創業のポルトガルの老舗オイルサーディンメーカー、Comur。ポルトガル国内では同ブランドで20店舗以上を運営しているが、ニューヨークが米国初進出となる。期間限定のポップアップショップではなく、常設店舗だという。
年代シリーズのほか、金の延べ棒風のデザインがユニークな金粉入りスペシャルバージョン(44ドル)、ホワイトペッパーやレモン、トマトなどのフレイバー系(19.6ドル)、骨&皮なし(30ドル)もある。
SNSで流行の兆し
Time誌が今年1月に報じたところでは、TIkTokなどのSNSで、魚の缶詰をフィーチャーしたコンテンツが人気を集め、レシピなどを紹介するクリエイターが増加している。
64万フォロワーを獲得しているダニエル・マトソン氏は、オイルサーディンやキャビア、燻製ムール貝を食べる動画を日々投稿しており、その中には再生数が数百万回を超えるものもある。
米最大の掲示板サイト、レディットに作られた「魚の缶詰」スレッドでは、4万人を超えるファンが集い、好みの缶詰や料理を紹介しあっている。
サンフランシスコのシェフ、アリ・フック氏は、昨年7月から毎週金曜日に夫との恒例行事として行っている「魚の缶詰デートナイト」を投稿しはじめたところ人気が拡大。最も人気のコンテンツの再生数は400万を超えている。今も頻繁に珍しい缶詰を紹介している。
Time誌は、人気拡大の要因は、米国人の大半が、珍味としての魚の缶詰というコンセプトに馴染みが薄いからではないかと指摘している。なかでもTikTokで注目を集めるのは、ロサンゼルス発のブランド「Fishwife」などが提供するカラフルで高級な缶詰だという。同社のホームページには、愛らしいパッケージが並び、各種商品の価格は3つセットで30ドル前後で販売されている。