トランプ前大統領がマスク着用に後ろ向きだった理由について、元側近が明かした。
パンデミック真っ只中の2020年5月、トランプ氏は、アリゾナにあるハネウェルのマスク工場を視察に訪れたが、施設内でマスクを着用しなかったとして非難を浴びた。関係者は工場側から着用しなくてもよいと告げられたと説明していたが、どうやら事情は異なるようだ。
ホワイトハウスでマーク・メドウズ首席補佐官の筆頭補佐官を務めたカシディー・ハチンソン氏は、今月26日に発売される回顧録「ENOUGH」の中で、その日の様子に言及している。
ニューヨークポスト紙が報じた本の内容によると、トランプ氏はこの日、白いマスクを着用することについてスタッフに意見を聞いて回っていたという。ハチンソン氏が首を横に振ると、トランプ氏は「マスクを外して、なぜ着用すべきではないと思うのか」と尋ねた。
ハチンソン氏が自分のマスクのストラップを指さすと、トランプ氏は自分のマスクを見つめ、それが「ブロンザー」で覆われているのを発見。「なぜ誰も言ってくれなかったんだ。私はこれをつけない」と言い放ったという。
ハチンソン氏は「彼の虚栄心の深さがマスクを拒否する原因だとは知らずに、マスコミは彼がマスクをしなかったと非難した。そして数百万人のファンがこれに倣った」と綴っているという。
なおトランプ氏の褐色じみたメイクをめぐっては、これまでに様々な憶測が流れてきた。
ワシントンポスト紙は2019年12月、元ハウスキーパーの話として、トランプ氏はスイスのブランド「BRONX COLORS」のメイク用品を顔に塗っており、満杯の容器2つと半分入った容器1つを常に用意しておくのがルールだったと報じた。
日焼けマシン説もある。元側近のオマロサ・マニゴールト氏は2018年に発売した暴露本で、トランプ氏は「一日中元気に見えるよう」に毎朝日焼けマシンを使っていると明かした。
トランプ氏に解任されたジェームズ・コミー元FBI長官も、回顧録で日焼けマシンの可能性を指摘。トランプ氏と面会した際「顔はわずかにオレンジ色に見えた」とした上で、「目の下には明るい白色の半月があり、小さな日焼け用ゴーグルをつけているのではないかと思われる」と考察を記した。
ハチンソン氏はこのほかに、2020年11月のサンクスギビングデーの前日に議員らを招いて開かれたホワイトハウスのイベントにも触れている。
検査で陽性判定受けた議員がおり、ハチンソン氏が陰性だった議員のみを通すことに決めたところ、トランプ氏は「全員だと言ったはずだ。全員連れてこい」と突き返したという。
結局、主治医だったショーン・コンリー氏が、陽性の参加者がマスクを着用することを条件にしぶしぶ全員の招待に同意した。しかし、トランプ氏は大統領執務室に並んだ議員らにマスクを外すよう指示。「美しい顔を見ることの方が重要で、ウイルスに感染することは心配していない」と説得したという。