ニューヨーク市は27日、移民を受け入れるための「リソースが限界に達した」として、別の地域に移動するよう紙面で通知すると明らかにした。
City and State NYによると、英語とスペイン語で書かれたビラには「市のリソースは底を突き」「これ以上ホテルに滞在することはできない」「労働許可証を入手する支援ができないため、職を見つけるのは難しいだろう」と明記されている。ニューヨークは「世界で最も生活費の高い街のひとつ」とし、「より手頃な街へ行くのがよいだろう」と他の地域に移動するよう推奨しているという。
ビラは、現在移民が滞在する施設だけでなく、南部の国境近くでも配布する予定。市保健福祉局のウィリアムズ・アイソム氏は会見で、ニューヨークでは住まいが保証されているといった情報が、すでに到着した難民申請希望者によって拡散されていると説明。ニューヨークを訪れても生活は困難だとして「ここに来るのを何としても思いとどまらせたい」と強調した。
市の発表によると、昨年の春以降、南部の国境を超えた移民のうち、11万8,800人がバス等でニューヨーク市に移された。これまでに、大規模な人道救援センターを17カ所設置したほか、210カ所の施設で移民を受け入れている。ホームレス向けのシェルターは11.5万人を収容できるが、6万1,400人が難民申請希望者で占められているという。
スタテンアイランドなど一部の地域では、学校や介護施設などをシェルターとして転用する市の決定に対し、住民による抗議活動が行われた。
移民一家族あたりに費やす1日の費用は、387ドル(約5万8,000円)。市は、移民の受け入れのコストは、今後3年間で120億ドル(約1.8兆円)に達する可能性があるとしている。エリック・アダムス市長は今月、マンハッタンで開催したタウン・ミーティングで、移民危機が「市を破壊する」と警戒感を示していた。
ニューヨーク州で定められた権利「right-to-shelter」(一時的な緊急避難所を提供することを義務付ける)では、条件に該当する場合、60日間シェルターに滞在することができる。アダムス氏は先週、この期間を30日に短縮する計画を発表した。