不動産市場のデータ分析サイトATTOMの調査によると、住宅価格の高騰と急激な住宅ローン金利の上昇を背景に、ほぼ全国で持ち家がますます取得しづらくなっていることがわかった。
2022年に急騰した住宅価格の中央値は、2023年第1四半期に横ばいまたは下落したが、その後2四半期連続で上昇し、第3四半期は前年同期比6.5%増の35万1,250ドル(約5,240万円)となった。
この一方、各地域の平均賃金に占める住宅に関わる支出は、分析対象とした578地域の99%で上昇した。住宅ローンの支払いと損害保険、住宅ローン保険、固定資産税を足した一般的なコストは 2,053ドル(約30.6万円)となり、史上初めて2,000 ドルを超えた。
2,053ドルは、全国の平均年収である7万1,214ドルの34.6%に相当する。2007年以来の高水準で、前年の第3四半期は28.4%だった。
米国でも収入の住宅支出に占める割合は約30%以下が適正とされる。これを超えると「ハウスプア」と呼ばれ、日々の生活費を賄うために負債が積み重なる危険がある。
同サイトは、調査対象とした578地域のうち57%にあたる330地域で、7万5,000ドル(約1,120万円)以上の年収が必要になると指摘している。
住宅所有者の1/4以上がハウスプアに
Chamber of Commerceが今年5月に国税調査のデータをもとに調査したところ、主要都市では家庭の27.4%がハウスプアに該当することがわかった。
ハウスプアの割合が最も大きい都市はフロリダ州ハイアリアで、所得に占める住宅関連支出が30%を超える家庭は59.3%に上った。次いでロサンゼルス(48.7%)、ニューヨーク市(45.3%)、マイアミ(44.6%)、フロリダ州ハリウッド(44.3%)と続いた。ニューヨーク市の住宅関連支出の中央値は年間3万4,176ドルで、ハウスプアを避けるには少なくとも11万4,000ドル(約1,700万円)の年収が必要になる。
ハウスプア拡大を防ぐには、FRBの政策金利の引き下げとそれに伴う住宅ローン金利の低下が救済策になると指摘されているものの、FRBは9月の会合で金利の誘導目標を現状の5.25-5.50%に据え置くことを決定。インフレが目標(2%)に向かって持続的に低下していると確信できるまで抑制的な水準に維持すると述べ、2024年から2025年にかけて高止まりする可能性を示した。
FRBの利上げに伴い、パンデミック中に3%を下回った30年固定平均住宅金利は8月に7%を突破。連邦住宅貸付抵当金庫の9月28日の発表によると、金利は7.31%で、2000年以来の高水準となっている。