フォーブス誌は、トランプ前大統領が2023年の米国長者番付トップ400人入りを逃したことを明らかにした。
同誌の推計ではトランプ氏の純資産は26億ドルとなり、ランクインするには3億ドル足りなかった。昨年より6億ドル低下しており、この最大の理由はソーシャル・メディア事業だと説明している。
「リベラルのバイアスとビッグ・テックの独占に対抗する」と宣言して2021年に立ち上げた「Truth Social」は、2023年にユーザー数4億人突破を予想していたが、現在のこれを大幅に下回る650万人に止まっている。トランプ氏は、サイトを運営するトランプメディア・アンド・テクノロジーグループ(TMTG)の90%の株式を保有している。
2021年10月に発表した特別買収目的会社デジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)との合併計画は2年が経った現在も行き詰まっている。フォーブスは「プラットフォームが成功していれば、たやすく代わりのファイナンシングを見つけることができるだろう。しかしそうではなく、Truth Socialの展望を楽観視する理由はほとんどない」と指摘した。
同誌はまた、トランプ氏のオフィスビルも困難に直面しており、推定1億7,000万ドル下落したとの推計を示した。このうち1億ドルはトランプ氏が30%のステークを保有するサンフランシスコの金融区にあるバンク・オブ・アメリカ・タワー( 555 California)によるものだとした。2026年に賃料の半分を占めるテナントのリース契約が満了を予定しているという。さらに通りの向かいにあるビルは最近、2005年の販売価格の半値以下で売約されたと説明を加えている。
トランプ氏はニューヨークの6番外にあるビル「1290 Avenue of the Americas」の30%のステークを保有しているが、同ビルでも最大のテナントが来年に本社の移転を計画していることから、資産価値6,000万ドルの下落に相当するとした。
この一方でゴルフ場は順調で、南フロリダの「トランプ・ナショナル・ドラール・マイアミ」の売り上げは1億600万ドルとなり、コロナ以前の水準7,500万ドルから大きく上昇した。営業利益は大統領就任当初の400万ドルから、年間2,000万ドル近くに達していると指摘。負債1億2,500万ドルを差し引くと、現在の推定価値は2億9,100万ドルになるとした。
トランプ氏はドラール以外に10のゴルフ施設を所有しており、パンデミック以前に1億800万ドルだったこれらの売り上げは推定で1億5,000万ドルに達しているとした。
またトランプ氏の流動資産は推定4億2,600万ドルあり、現金がポートフォリオの最も重要な資産になっていると指摘した。昨年の首都ワシントンのトランプ・インターナショナル・ホテルの売却では、推定で現金1億4,500万ドルを獲得し、公演や本の売り上げも2,000万ドルあると推計を示した。「現在直面している法的脅威の洪水を考えると、その資金は役に立つかもしれない」と加えた。今週ニューヨークの裁判所で始まった詐欺訴訟で、トランプ氏は2億5,000万ドルの支払いを命じられる危機に直面している。
ランクインを逃したことは大した問題に見えないが、トランプ氏にとっては異なる。フォーブスは「トランプ大統領は何十年もこの年次計測に執着し、上位に躍り出るために記者たちに執拗に嘘をついていた」と指摘した。
トランプ氏は経済的危機に直面した1990年と2021年もランク外を経験している。1990年にニュージャージー州アトランティックシティにオープンしたカジノホテル「タージマハル」は半年後に財政が行き詰まり、翌年1991年7月に破産を申請した。2022年にフォーブスはTMTGを7億3,000万ドルと評価したことで、400人リストに復帰した。
なお長者番付のトップ5は、イーロン・マスク(2,510億ドル)、ジェフ・ベゾス(1,610億ドル)、ラリー・エリソン(1580億ドル)、ウォーレン・バフェット(1,210億ドル)、ラリー・ペイジ(1,140億ドル)となっている。