10月7日にイスラエルに侵入し、集落を襲ったハマスの戦闘員たちはドラッグでハイになっていたという。
英紙テレグラフがイスラエルのテレビ局の報道を元に伝えたところによると、イスラエル兵によって殺害または捕らえられたハマスの戦闘員のポケットから「カプタゴン」と呼ばれる合成麻薬が発見された。「非人道的な殺人」を犯す前にこの薬物を摂取していたという。
イスラエル南部のガザ国境に近いキブツ(農業共同体)の男性は、ニューヨーカーの取材に、ハマスの戦闘員らが去った後、友人から「やつらはジムから出てきたばかりのようだった。目に狂ったような喜びを宿していて、まるで何かで高揚しているかのようだった」と聞かされたと明かしている。
別名「ジハードの薬」
アルジャジーラによると、カプタゴンはもともと1960年代にドイツの製薬企業デグサ社が製造した向精神薬の商品名で、当時は注意欠陥障害やナルコレプシーの治療に処方された。成分にはアンフェタミンと同じフェニルエチルアミン系の合成薬物であるフェネチリンが含まれている。
1986年にフェネチリンが国際条約の規制物質に指定され、ほとんどの国で使用が中止されたが、ブルガリアで偽造薬が製造されるようになり、トルコの犯罪ネットワークなどを通じて、アラビア半島に密輸されるようになった。
トルコとブルガリアの当局による厳しい取締でバルカン半島からの流通は急激になくなり、現在出回っている大半はシリアで製造されたものだという。国際社会から孤立するアサド政権やその同盟組織の重要な資金源になっているとみられ、密売にはレバノンの親イラン組織ヒズボラなどの武装勢力も関わっている。
テレグラフによると、イスラム国(ISIS)の集団の間でも広く出回り、戦闘員らが前線で目を覚まし続けるために服用している。別名「ジハードの薬」や「貧乏人のコカイン」などと呼ばれているという。