イーロン・マスク氏は23日にXスペース(旧ツイッタースペース)で行ったディスカッションで、米国は無意識に第三次世界大戦に向かっていると述べ、文明の危機に瀕する可能性があると警告。政策を転換するべきだと主張した。
マスク氏はイスラエルとハマス、ロシアとウクライナ間の戦争が急速に世界大戦に発展する恐れがあるとした上で、「第三次世界大戦は、立ち直ることのできない文明的リスクだ。 われわれは大戦を避けることを第一優先にする必要がある」と語った。
軍事力のバランスの変化について「ロシアとイラン、中国のコンビネーションは、西側に対して非常に強大なものだと認識しなければならない」と述べたほか、「戦争の基礎は経済力、特に工業生産だ」と強調し、「ロシアには原材料があり、中国には工業能力があり、率直に言って完璧な組み合わせだ」「われわれには工業力で圧倒的な優位性はない」と語った。
議論には、共和党の大統領選予備選に出馬しているヴィヴェク・ラマスワミ氏も加わった。
ラマスワミ氏は「ロシアの超音速能力、核能力はともにわれわれの先を行っており、中国の海軍力は間違いなくわれわれを超えている」と述べつつ、第三次世界大戦に突入した場合、「米国は存在しなくなる」可能性が高いと警鐘を鳴らした。
マスク氏によると、世界大戦を回避するには、米露関係の正常化が欠かせない。米国の政策は「ロシアにイランと中国との同盟を強いている」と指摘し、「われわれはウクライナの和平を見つけ出さなければならない。ロシアとの正常な関係を回復しなければならない。そうしなければ、ロシアを中国との同盟に追い込む。彼らはすでに合同軍事演習を実施している。どれくらいの人がこれに気がついているだろうか」と語った。
また、ロシア支配下のウクライナ東部の一部とクリミアはロシアの一部になることを望んでいるとも主張。「ウクライナのたくさんの若者が塹壕で犠牲になっている。本質的に領土の獲得がないのに。毎日死んでいっている、何のためにだ?」と語り、ウクライナにとっても停戦が「最善の結果」をもたらすと考えを述べた。
プーチン大統領が外交相手として信頼できるかと指摘を受けると、「互いに信頼するかどうかは問題ではない」と主張。「ウクライナが東部の主にロシア語を話す地域に前進できないのと同じ理由で、ロシアはウクライナ人が大多数の地域には進出できない。なぜなら大規模な反乱の拠点だからだ」と述べた。
マスク氏は昨年、ロシアが編入を宣言したウクライナ東・南部4州について、国連の監督下で住民投票を再び実施することや、クリミアをロシアの一部と認めるといった独自の和平プランを提案し、ウクライナ側から強い非難を受けている。