イスラム組織ハマスとイスラエルの戦争勃発後、、リベラル派のユダヤ人の中で、保守系ケーブルテレビ局Foxニュースを視聴する人々が増加しているという。
ニューヨークタイムズによると、視聴者が増えているのは、ニューヨークやマイアミ、ロサンゼルス、フィラデルフィア、ワシントンなど、ユダヤ系住民が多い都市部の地域。ニューヨークに関しては、9月の時点でFoxニュースの視聴者数は、ライバル局のMSNBCより16%少なかったが、現在は数パーセント上回っている。
その理由について同紙は、最近Foxニュースを見始めたというミネアポリス在住のリベラル派ユダヤ人や、ニューヨーク大学の卒業生の声を紹介。「友人や家族も、自分たちがFoxニュースのクリップを見ていることに驚いている」「以前の自分なら、フェイクニュース」と笑い飛ばしていただろうなどと語っている」などと語っている。
タイムズは、彼らは主流メディアが「イスラエルに敵対的すぎる」と感じており、Foxが「情報避難所になっている」と分析を示した。Foxニュースはこれまで、ジョージ・ソロス氏などの裕福でリベラルな資本主義者や「グローバリスト」に批判的で、「間接的には反ユダヤ主義」だとみなされていたと説明。民主党支持派が多いユダヤ系とFoxニュースの組み合わせは「いささか、ありそうにない同盟」としつつも、ハマスの攻撃以降、どの主流派より、イスラエル支持に徹した報道を続けてきたためと説明している。
その一例として、CNNやMSNBCが、イスラエル軍によるジャバリア難民キャンプの攻撃を報じる中、Foxニュースはイスラエル軍の兵士2名が死亡したと伝えていた。襲撃直後には、ハマスに殺害されたイスラエル人の家に取り残された子犬が見つかったと報道したこともあった。
これらの報道に、パレスチナの支持者からは「シオニストのプロパガンダ」といった非難の声も上がっているという。
司会者の1人、ジェシー・ワッターズ氏は1日放送の番組で、米国は中東諸国の発展のために援助を「し尽くした」と述べ、歴代の米大統領は「愚かな砂漠から抜け出そうとしている」と主張。ニューヨークなどで、イスラエル人の人質のポスターを破るイスラム系の住民に「そんなことはやめろ、顔面を殴られるぞ」と非難を展開した。
これに対し、ホワイトハウスの報道官は、「ヘイトに満ちた嘘」で、反イスラム的だとして、ワッターズ氏の発言を批判。政権は「イスラム嫌悪や反ユダヤ主義、あらゆるヘイトに立ち向かう」と声明を発表した。