2010年から上院議員を務めたウェストバージニア州選出のジョー・マンチン議員(民主党)が、来年の選挙への不出馬を宣言した。民主党は、来年の選挙で多数党を維持するための苦しい戦いを強いられることが予想されている。
10日に公開した動画で、マンチン議員は「ウェストバージニアのために目指したことは達成できたと心の底から信じている。 人生で最も難しい決断の一つを下し、米国上院議員選挙に立候補しないと決めた」と語った。
同州は過去20年で保守派に強く傾き、2000年以降の大統領選ではいずれも共和党候補者が勝利している。2020年大統領選では、トランプ氏が40%近くの大差をつけて勝利した。
来年の上院選では、共和党から現職の州知事、ジム・ジャスティス氏が名乗りを挙げている。ニューヨークタイムズによると、民主党関係者は、同氏と渡り合える候補者はすぐには見当たらないと漏らしたという。
現在の上院の議席は、共和党49議席、民主党(無所属を含む)は51議席。来年の選挙では、民主党の現職が再選を目指す共和党寄りのオハイオとモンタナ、スイングステートのウィスコンシン、ネバダ、ペンシルベニア、ミシガン、アリゾナで激戦が予想される。なおアリゾナの現職は、民主党から無所属に移ったキルステン・シネマ議員で、まだ再選を目指す意向を明らかにしていない。
民主党は、7州をなんとか制して50議席を確保し、副大統領のタイブレーク票で優位を維持することも狙えるが、それも政権を維持できた場合に限る。複数の世論調査で、バイデン氏の支持率はトランプ氏を下回っている。
大統領選に参戦の可能性は?
マンチン議員は先述のビデオで、今後は「国を旅して声を上げて、中間層を結集してアメリカ人を団結させる運動に関心があるかどうか確認する」と述べるなど、第三勢力としての大統領選出馬の可能性を排除しなかった。
「ワシントンにおけるあらゆるインセンティブは、政治を極化することを目的としている。民主党と共和党の間の溝の拡大は議会を麻痺させ、国の問題を悪化させている」、「大多数のアメリカ人はただ疲れ果てているだけだ」と話した。
マンチン議員が第三党または無所属での出馬となれば、民主党から無所属に転じて出馬する方針を固めたロバート・ケネディ・ジュニア氏とともに、大統領選をさらに複雑化させかねない。
ポリティコによると、大統領に近い民主党関係者らは、マンチン氏がバイデン氏から穏健派や中道左派の票の一部を奪う可能性があると懸念を示したという。
ちなみに、シエナ大学とニューヨークタイムズが7日に公表した激戦州の世論調査の結果では、トランプ氏とバイデン氏、ケネディ氏の3者の争いになった場合、支持率はそれぞれ35%、33%、24%となった。
マンチン氏は7月、第三党の候補者を擁立する計画を打ち出している中道の政治団体「ノー・ラベルズ」のイベントのため、予備選が早期に実施されるニューハンプシャー州を訪れた。
ノー・ラベルズは10月の時点で、候補者の名が投票用紙への記載が可能な州が12州に拡大したと報じられた。マンチン議員の再選不出馬の発表を受け、「米国の最大の課題を解決するための長い間待ち望まれていた国民的対話を主導するために立ち上がったことを称賛する」と歓迎の意を表明した。大統領候補に誰を擁立するかについて、全国のメンバーから意見を集めており、2024年初めまでに決定する予定だとした。